2017年01月07日

今こそ検証報道を期待 「全国紙も抗議を」 小口弁護士

 8月20日の高江橋での記者取材妨害の現場を目撃した小口幸人弁護士に、当時の状況や報道の自由がなぜ国民にとって重要なのかについて話を聞いた。(JCJ北海道支部・川村史子)
=11月30日、沖縄県八重瀬町の南山法律事務所


Q 記者の取材妨害について沖縄県議会で県警本部長が「会社の腕章をつけていなかったので現場の警察官が抗議参加者と区別できなかった。記者の取材を規制するつもりは毛頭ない」と答弁している。
小口 県警本部長の答弁は事実と違う。腕章は見えていたし私も抗議した。一度救出もした。単純な話で、あの日、警察官の中に記者を排除してはならないということを理解していない警察官が多かった。是正もされなかった。腕章をつけていなかったからという説明は、県警本部長が都合のいい報告を上げさせたのだと思う。

Q 取材や報道の自由の法的根拠は?
小口 報道の自由の保護は、法律には明記されていない。憲法にも検閲の禁止だけしか書かれていない。それでも報道の自由が認められ尊重されてきたのは、民主主義に必要で大切に育まれ、護ってきたからだ。私はあの日、取材妨害を受けた記者たちに強く言った。腕力で記者を排除して取材させないという行為は、報道の自由の根幹部分を直接侵害する行為だ。ここでしっかり抗議して守らないと大変なことになる。会社として警察に抗議し、大キャンペーンを張らないといけない。沖縄の新聞社だけではだめで、全国紙も地方紙も報道にかかわるものすべてが報道の自由を守るために抗議しないといけない。ここを侵害されたら取り返しがつかない。

Q しかし沖縄での記者の取材妨害について本土のメディアの動きは鈍かった。
小口 政権側は、昔は報道の自由にふれたら大変なことになると考えていたのだと思う。でも今は違う。いざ手を突っ込んだら反応が鈍かったのでどんどん侵害している。今回も、内閣は(仲里利信衆院議員の)質問主意書に対して「報道の自由は十分に尊重されている」として、堂々と記者排除を正当化する答弁書を閣議決定した。

Q 報道の自由はなぜ重要なのか?
小口 国民は忙しい。報道機関が国民の代わりに報じないと民主主義は単なる人気投票になって機能しない。政権は都合のいい情報だけを流すので、特に権力監視のための報道が必要。報道なしには民主主義は成り立たない。だからこそ報道の自由は国民挙げて守っていかなくてはならない。報道機関も報道の自由の侵害にみんなで肩を組みあって敢然と立ち向かっていかないと、存在意義そのものがなくなる。考えようによっては侵害された今がチャンスだ。1年後でもいい。検証のための報道を期待する。

◇おぐち・ゆきひと
 東京都町田市出身。1978年生まれ。脱サラ後、2007年9月、司法試験合格。東京、岩手県宮古市を経て、2016年2月、沖縄弁護士会入会。沖縄県南部の八重瀬町で「南山法律事務所」を開所。
*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年12月25日号


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