2017年01月07日

吉永春子さんを偲ぶ 戦中・戦後の闇に肉薄 凄みのあるドキュメンタリスト=諌山 修

 吉永春子さん。享年85。何しろ大先輩である。テレビ放送が始まった1955年に当時のラジオ東京入社。録音構成「松川事件の黒い霧」(62年)で第1回ギャラクシー賞受賞。翌63年「ゆがんだ青春」(安保闘争の全学連リーダーが右翼の大立者から資金提供を受けていたというスクープ)で社会に衝撃を与える。さらにテレビ時代には旧日本軍の細菌兵器開発を追った「魔の731部隊」(76年)など、戦中戦後の闇と謎とタブーに肉薄した、凄味のあるドキュメンタリストだった。

 TBS社内ではもっぱら「お春さん」だった。小柄で痩身。軽量、色白。それでいて大声で早口。普段は熱量消費を最小化し、その分のエネルギーを仕事に注ぎ込んでいると思わせる不思議なたたずまいの人だった。6年遅れで入社した駆け出し記者の私には近寄りがたい存在だったが、当時からJCJの活動家で、顔を見ると入会を迫られていたものだ。99年から5年間JCJ賞選考委員をつとめ、3年おいて後輩の私が引き継いだが「とてもユニークな発想の持ち主で、大いに刺激を受けた」(選考委メンバーの柴田鉄治氏)。

 昨夏のテレビ放送60周年記念社報の座談会で若手記者にネタ探しのコツを聞かれ、こう答えている。「いろんな人に〈面白いことありますか〉と聞いて回るのよ毎日毎日。情報源を作って毎日通ってれば分かるんです、そこに何が起こるか」――相変わらずの乱暴な語り口はいかにも照れ屋のお春さんらしいが、大抵のことはネット検索で済ませる今どきの若手記者には至言というべきだろう。
(JCJ賞選考委員)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年12月25日号


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