2017年01月15日

市民の声がNHK籾井会長再任を阻止/地方局幹部職員が「運動の力」=小滝一志

 12月6日、NHK経営委員会は次期会長に籾井勝人氏を再任せず経営委員上田良一氏を選任した。籾井再任を阻んだのは就任直後から沸き上がり、最近まで続いた視聴者・市民の「罷免・再任反対」の声だった。
 2014年1月25日、「政府が右というものを左とは言えない」と「放送の自主・自律」をないがしろにする発言が飛び出した籾井勝人会長就任記者会見。翌日から各地の市民団体の抗議・申し入れが相次ぎ、2月末には、JCJも加わった7市民団体が「籾井、百田・長谷川経営委員罷免要求署名」を開始。ほぼ3年間取り組まれ、16年末には全国46都道府県から8万筆を超える署名が寄せられた。

 NHK経営委員会が次期会長選任に動き出した16年8月、21団体が呼びかけて新たに「籾井再任反対、推薦・公募制を求める」署名運動が開始され、ほぼ3カ月の取り組みで3万5千筆を超え、ネット署名は海外からも寄せられた。NHK経営委宛の申し入れと署名提出は新旧併せると23回に及んだ。署名呼びかけ団体は、旧署名7、新署名21。この間、全国でNHK問題を考える視聴者団体が急増し、運動の裾野が大きく広がったことが読み取れる。

■公募・推薦制へ弾み

 籾井任期切れの近づいた16年、「籾井NO!」の緊急院内集会、NHK西口門前集会、「会長選考過程の抜本改革」を求める全国27市民団体の申し入れなど抗議行動が相次いだ。全国各地でもNHK地方放送局に対して市民団体の抗議行動が展開された。
 こうした動きの延長線上で、NHK全国退職者有志が次期会長推薦運動を始めた。NHK全国退職者有志は、市民団体と労働組合の性格を併せ持つようなやや異色の集団で、籾井の任期が1年を切った今年4月から準備を始め、7月、メディア研究者や元経営委員などの協力も得て「次期会長候補推薦委員会」を立ち上げた。勝手連的に名前を上げた20人近い候補者から5回ほど議論を重ねて数人の「会長候補」に絞り込み、最後は事務局が直接面談して推薦の意向を伝えて打診した。面談は難航したがようやく12月2日、作家・落合恵子、元日本学術会議会長・元東大副学長の広渡清吾、NHKOG・元東京学芸大学学長の村松泰子の3氏を推薦する名簿をNHK経営委員会に提出した。経営委・会長指名部会では議論の対象にはならなかったようだが、NHK会長の公募・推薦制を求める運動を一歩前へ進め、一石を投じたと言えよう。
 次期会長に上田良一氏が決まって数日後の12月10日、市民団体との懇談の席で、あるNHK地方局幹部は「私も含めNHK職員の95%は良かったと思っているだろう。籾井会長を再任させなかったのはみなさんの運動の力」と述べた。

■副会長人事に注目

 しかし、NHK内部では「経営委員会の中では、早くから上田氏の名前は挙がっていた。ずっと官邸(増田寛也氏を推していた菅官房長官)の指示待ち状態でやっとゴーが出た」と政権の影を指摘する声もある。また、籾井会長に専務理事の座を追われた板野裕爾氏が副会長ポストを狙っていることがかなり確度の高い情報として流れている。板野氏が復帰すれば政権べったり放送がさらに加速することが危惧される。今後の役員人事や上田新会長の経営手腕に、視聴者・市民の厳しい監視の目が引き続き求められていることは間違いない。
(放送を語る会)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年12月25日号


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posted by JCJ at 11:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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