2017年01月22日

□■刑事司法の変質は「警察国家」への回帰だ、山城博治さんらに対する不当な拘禁をやめ、速やかに釈放を!!!

 沖縄平和運動センターの山城博治議長が、威力業務妨害容疑などで逮捕され勾留されてから、約3カ月が経つ。
 12日には、鎌田慧、澤地久枝、佐高信、落合恵子、小山内美江子氏らが呼びかけ、「山城博治さんらを救え!」キャンペーン集会が、参議院議員会館講堂で開催された。350名が参加し会場はいっぱいとなった。
 鎌田さんや沢地久枝さんらは、山城氏らの保釈や接見制限の解消を要求するインターネットの署名キャンペーンサイトを軸に呼び掛けている。60カ国以上から計約1万8千人分の署名を集め、20日午前、那覇地裁に要請書と署名を提出した。

(JCJふらっしゅ「報道クリップ」=小鷲順造)


勾留続く辺野古反対派リーダー 早期釈放求め署名提出(東京新聞20日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017012002000242.html
鎌田慧さんらも釈放要請 辺野古反対派リーダー勾留(神戸新聞20日)
https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201701/0009845426.shtml
【録画】01・12 「山城博治さんらを救え!」抗議集会
http://jcj-daily.seesaa.net/article/446148607.html


▽那覇地裁に要請書と署名を提出=「山城博治さんらを救え!」キャンペーン

 Free Hiroji Campaign /「山城博治さんらを救え!」キャンペーン=山城博治さんらの釈放を!の署名サイトは下記。

山城博治さんらの釈放を!
https://goo.gl/K85Lg4


 要請内容は下記のとおり。

 要請者:鎌田慧、澤地久枝、佐高信、落合恵子、小山内 美江子
--------------------------------------------------------------------------

 那覇地方裁判所御中
 那覇地方検察庁御中

山城博治さんらの釈放を求める要請書

前略
 私たちは、沖縄辺野古の新基地建設と高江のオスプレイパッド建設に反対する人々に対する政府のすさまじい弾圧に深い憂慮の意を表明し、逮捕・勾留されている山城博治さんらの釈放を強く求める者です。
 沖縄辺野古の新基地建設と高江のオスプレイパッド建設に沖縄の県民の多くが反対をしています。沖縄の基地負担軽減では全くなく、新たな基地を作り、基地機能を強化するものでしかないこと、また、貴重なふるさとの自然を守りたい、平穏な生活を守りたいという気持ちから、非暴力の座り込みが続けられています。
 こうした中、反対運動を続ける沖縄平和運動センター議長である山城博治さんたちがこじつけとも思われる理由で逮捕され、次々と罪名が切り替わり、長期の勾留が続いています。現場で行動を指揮する山城博治さんに対する勾留は、2016年12月25日で、70日にも及んでいます。
 山城博治さんは、10月17日、ヘリパッド建設予定地周辺の森の中におかれた有刺鉄線を切断したとして器物損壊罪で逮捕されましたが、那覇簡裁は20日にいったん勾留請求を却下しました。すると、警察は、同じ20日に、9月25日に公務執行妨害と傷害を行ったとの容疑で再逮捕しました。勾留を続けるために再逮捕したのです。
 11月11日には、山城さんは、公務執行妨害と傷害の罪で起訴されました。しかし、起訴の翌日の琉球新報は、山城さんは、「現場で市民の行動が過熱化したり、個別に動いたりすることを抑制し、」「勝手に機動隊員らと衝突したりしないように繰り返し呼びかけていた」と報じています。さらに、山城さんが2015年4月に闘病生活に入り、辺野古のキャンプシュワブゲート前の抗議行動に参加できなくなった後の県警関係者の話として、「暴走傾向の人を抑える重しとして山城さんは重要だった」と話していたと報じています。
 現場で、警察官が傷害を負った事実が仮にあるとしても、それを山城さんの責任とすることは筋違いです。
 さらに、11月29日には、今度は、山城さんは威力業務妨害罪で逮捕されました。この逮捕の容疑は、10ヶ月前の、1月28日から30日にかけて、ゲート前にブロックを積み、工事車両の通行を妨げたというものです。なぜ、10ヶ月も前に行われた抗議行動について、いま、逮捕勾留なのでしょうか。警察は、その場にいて、見ていたにもかかわらず、何の行動も起こしていませんでした。
 山城博治さん他運動関係者らに対する逮捕、勾留は、高江のオスプレイパッド建設、辺野古の新基地建設を強行するために、その反対運動をつぶすために行われているものです。沖縄の人々の、基地とヘリパッド建設反対のやむにやまれぬ行動に対して、これを力でねじ伏せるような一連の検挙は、不当な弾圧であり、決して許されてはなりません。
 私たちは、山城博治さんたちの早期釈放を求めます。保釈が認められるべきです。同じ被疑事実で逮捕された他の人たちの何人かは、起訴されず釈放されています。罪証隠滅の恐れなどないことは明らかです。もちろん逃亡の恐れもありません。勾留を続ける法的な理由がありません。
 とりわけ山城博治さんの健康状態が心配です。山城博治さんは、2015年に大病を患い、病み上がりの状態です。今も、白血球値が下がり、病院に通院し、治療を受けなければならない状態です。勾留理由開示公判で山城さんを見た、市民からも、山城さんの健康を危惧する声が上がっています。健康を害していることが、明らかな状態のもとで、長期の勾留が続けられています。
 さらに、山城博治さんのみ接見禁止がついていて、市民が面会に行くこともできず、弁護士としか会えない状態が続いています。山城博治さんの健康を害し、生命の危険すらもたらしかねない長期勾留は、人道上も決して許されることではありません。山城博治さんたちの一刻も早い釈放を求めます。

1.山城博治さんほか沖縄辺野古の新基地建設と高江のオスプレイパッド建設に反対する活動に関連して勾留されている人々の保釈または勾留執行停止を強く求めます。
2.山城博治さんに対する接見禁止措置を直ちに解除することを求めます。

*山城博治さんらの釈放を!(Change.org)
 https://goo.gl/K85Lg4
--------------------------------------------------------------------------

▽正当な理由のない拘禁であり、速やかに釈放されねばならない

 琉球新報によると、日本の裁判の傍聴人が法廷でメモを取ることの許可を求めたが認められなかったため、国家賠償法に基づき損害賠償を求めた事件の原告としても著名な米ワシントン州弁護士のローレンス・レペタ氏(明治大特任教授)は13日、沖縄平和運動センター山城博治議長の長期拘留について「国際人権法に反する」と指摘した。
 レペタ氏は、議長の長期拘束は「国際人権法に反する」と指摘、拘束を認めている裁判所に対しても保釈を求めた上で「山城議長の長期勾留は日本の裁判制度の国際的な評判にまた傷を付けている」として、対応を疑問視している。
 昨年12月28日には、森川恭剛琉球大教授ら刑事法研究者4人が呼び掛け人となり、全国の刑事法研究者41人が28日、「正当な理由のない拘禁であり、速やかに釈放されねばならない」とする緊急声明を発表した。

 琉球新報が記事でその内容をまとめているので、そこから紹介する。全文は前田朗氏のブログなどで読むことができる。
1.山城議長の長期勾留について「従来から問題視されてきた日本の『人質司法』 が、在日米軍基地を巡る政府と県の対立の深まる中で、政治的に問題化したとみられる非常に憂慮すべき事態だ」
2.山城議長が起訴された3件の事案が「政治的表現行為として行われたことは明らか」である。「政治的表現行為の自由は最大限尊重されなければならない」。事案については「偶発的、不可避的に発生した可能性が高く、違法性の程度の極めて低いものばかりだ」
3.検察が必要な捜査を終えており、証拠を隠滅する可能性はないとして、「山城氏を勾留する相当の理由は認められない」
4.山城議長は健康上の問題を抱えており、また勾留は表現行為への萎縮効果を持つ。「これ以上の勾留は『不当に長い拘禁』であると解されねばならない」

 繰り返しになるが、声明の末尾部分のみ摘記しておく。
1)法的に理由のない勾留は違法である。その上で付言すれば、自由刑の科されることの想定できない事案で、そもそも未決拘禁などすべきではない。また、山城氏は健康上の問題を抱えており、身体拘束の継続によって回復不可能な不利益を被るおそれがある。しかも犯罪の嫌疑ありとされたのは憲法上の権利行為であり、勾留の処分は萎縮効果をもつ。したがって比例原則に照らし、山城氏の70日間を超える勾留は相当ではない。以上に鑑みると、山城氏のこれ以上の勾留は「不当に長い拘禁」(刑訴法91条)であると解されねばならない。
2)山城氏の長期勾留は、従来から問題視されてきた日本の「人質司法」が、在日米軍基地をめぐる日本政府と沖縄県の対立の深まる中で、政治的に問題化したとみられる非常に憂慮すべき事態である。私たちは、刑事法研究者として、これを見過ごすことができない。山城氏を速やかに解放すべきである。

山城議長勾留「国際人権法反する」 米弁護士レペタ氏が異議(琉球新報18日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-429024.html
山城議長拘束、刑法学者41人が疑義 釈放求め声明(琉球新報12月29日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-419628.html
山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明(前田朗Blog)
http://maeda-akira.blogspot.jp/2016/12/blog-post_27.html


▽環境破壊、人権侵害、民主主義の破壊に他ならない

 また、1月9日には、76か国の環境NGOのネットワークである「Friends of the Earth(FoE)インターナショナル」(本部:オランダ)が、沖縄の米軍基地建設に反対する人々への連帯を表明し、山城博治さんらの解放を求める声明を発表した。FoEは、「現在、国際的に、環境や人権擁護活動のリーダーたちが、相次いで弾圧されたり、誘拐・殺害などのターゲットになるような事件が相次いでいます。FoEインターナショナルは民主主義と環境正義を守る立場から、こうした状況に深い憂慮と関心をもち、沖縄の平和運動の弾圧についても国際的な連帯を呼びかけています」としている。

 内容は以下のとおり(日本語訳原文は、です・ます)。
1.FoEインターナショナル)は、最近の沖縄での米軍基地建設に反対する人々の逮捕、長期拘留に深い懸念を抱いていることを表明する。
2.沖縄平和運動センター議長であり、抗議活動のリーダーでもある山城博治氏は70日以上に及び拘留されており、他にも抗議者が拘留されている。抗議に参加する地元のグループや個人は、故郷の森と平和な生活を守るため、非暴力のルールに従いながら、沖縄における米軍軍事施設の建設に長年反対してきた。
3.山城氏の状況は特に懸念されます。過去に大病を患った山城氏には定期的な検診が必要だが、弁護士以外、家族でさえ接見が制限されている。
4.FoE Japanは現在、山城氏やその他の拘束された人々を解放するためのキャンペーンをサポートしている。
5.FoEインターナショナルは抗議者に対する長期拘留と不当な扱いに非常に強い懸念を抱いている。沖縄現地の人々が新基地建設に反対しているにもかかわらず、日本政府は強硬に建設を推し進めている。これは環境破壊、人権侵害、そして民主主義の破壊に他ならない。
6.FoEインターナショナルは、平和や正義を求めて米軍基地建設に反対する人々への連帯をしめし、山城博治氏を含む抗議者の即時解放を求める。

 FoEインターナショナル 声明:英文
 https://goo.gl/qfqwFS
 FoEインターナショナル 声明:日本語
 http://www.foejapan.org/aid/henoko/170110.html

▽刑事司法の変質は「警察国家」への回帰

 琉球新報は16日付、沖縄タイムスは18日付の社説で、この問題を取り上げた。
 琉球新報16日付社説のタイトルは、<山城議長長期勾留 「警察国家」への危機感募る>。書き出しは、「名護市辺野古の新基地建設現場と東村高江のヘリパッド建設現場での行為を巡り、逮捕・起訴された山城博治沖縄平和運動センター議長の拘束が約3カ月に及ぶ」。
 社説は、今回の長期勾留に関し、政治的な表現の自由を脅かす異常な人権侵害であり、今後、市民運動が標的になりかねないという懸念が国内外で急速に広がっていると指摘する。

 各方面からの声明は、海外の有識者、国内の刑法研究者、日本国際法律家協会、76カ国にネットワークを持つ環境NGOと相次いで出されている。作家の落合恵子さんや脚本家の小山内美江子さんらが呼び掛けた釈放要求の署名運動は、3週間で国内外から約1万7千筆を集めたとして、こうしたうねりは、<安倍政権下で、民主主義国家、法治主義国家であるはずの日本が急速に「警察国家化」しているという疑念と危機感が深まっている表れだ>と厳しく指摘している。
 基地建設ごり押しに異議を唱え非暴力の抵抗に身を投じた市民を、問答無用に抑え込みリーダーを狙い撃ちにする、こうした必要性の乏しい勾留を延々と続けることは、政治弾圧に等しい。「不当に長い拘禁」は抗議行動を反社会的行為と印象操作する安倍政権の意向が反映しているのではないか。
 がんを抱え、健康状態の悪化が懸念される山城議長は、家族との面会や靴下の差し入れも認めなかった。こうした対応について社説は、<裁判所は安倍政権の強権的姿勢を忖度する県警や那覇地検に従い、勾留延長を認めてきた>と弾劾、<憲法の番人の役割への自覚はあるのか>と問い詰めている。
 最後に、沖縄における刑事司法の「変質」からみえてくる国家の危機を、次のように訴えて締めくくっている。まさに時代の真実を突いた言葉だといえるだろう。
――警察法は、警察が治安維持を名目にして政治弾圧を担い、国を戦争へ導く役割を担った戦前、戦中を猛省して制定された。沖縄で見える刑事司法の変質は「警察国家」への回帰と感じられてならない。

 沖縄タイムス18日付社説のタイトルは<[山城議長勾留3カ月]権限濫用の人権蹂躙だ>。まずポイントの一つとして、<容疑の内容を見る限り、3カ月もの勾留には強い違和感を覚える>とする。そして、反対派リーダーを何が何でも長期間拘束し、<政府に盾突く抗議行動を萎縮させようという思惑>が透けて見える、指摘する。
 また、1)10カ月前の行動まで持ち出して逮捕を繰り返し、2)起訴後も証拠隠滅の恐れがあるなどとして釈放が認められていない。これは、<機動隊員が抗議する市民を力ずくで強制排除し、市民側からけが人が出ても、おとがめなし>という状態とは<対照的だ>と告発。
 こうした<異様な事態に、国内外から批判>が上がっている。
 県内外の刑事法の研究者41人が緊急声明を発表し、日本国際法律家協会や環境NGOのネットワークも声明で釈放を求めた。<海外識者10人は、連名による声明「山城博治氏らの釈放を求める」で「基地を沖縄に強要し続ける国家に逆らい、諦めない姿勢そのものが最大の罪とされている」>と指摘、<辺野古を巡り政府と県の対立が続く中、沖縄の民意を力でねじ伏せようとする動きに危機感が高まっている>と、社説はあらためて指摘する。
 社説は最後に、<政治的弾圧に司法までもが追随し、極めて危険だ>と強調したうえで、山城議長は大病を患っており、長期の勾留による健康への影響が心配されるなか、家族との接見すら認められていいない事実をもって、<人権蹂躙としか言いようがない。ただちに釈放すべきだ>と厳しく早期の対応を求めている。
 なお、文中に登場した連名による海外識者10人とは、オーストラリア国立大学のガバン・マコーマック名誉教授、乗松聡子アジア太平洋ジャーナル・ジャパンフォーカス・エディター、スティーブ・ラブソン・ブラウン大学名誉教授、ノーマ・フィールド・シカゴ大学名誉教授、マーク・セルダン・コーネル大学東アジアプログラム上級研究員、ピーター・カズニック・アメリカン大学教授、キャサリン・ミュージック(海洋生物学者)、ダグラス・ラミス沖縄キリスト教学院大学大学院客員教授、ウェンディ・マツムラ・カリフォルニア大学サンディエゴ校歴史学助教授、エリン・ジョーンズ(研究者)、の各氏。

 沖縄タイムスは12月18日付<勾留2カ月「健康状態が心配」 沖縄・基地反対運動リーダーの釈放求め声明>の記事で、この声明について、「沖縄の民主的非暴力の抵抗の中心人物の一人の勾留が続き、釈放の時期も見えないことを深く憂慮している。他にも4人が勾留中である」と指摘。「長期の拘留で山城氏の健康状態は悪化している」と深い懸念を示し「警察による山城氏の基本的人権蹂躙(じゅうりん)は目に余る」と批判し早期釈放を要請している、と紹介した。
 この声明の原文は、「Peace Philosophy Centre」のサイトに掲載されている。ぜひ全文に目を通されたい。
 声明:沖縄・名護署で警察に50日以上も勾留されている山城博治氏を釈放せよ!
 Nago, Okinawa - We demand release of Yamashiro Hiroji and others from police detention!
 http://peacephilosophy.blogspot.jp/2016/12/nago-okinawa-we-demand-release-of.html

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


<社説>山城議長長期勾留 「警察国家」への危機感募る(琉球新報16日)
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-427892.html
[山城議長勾留3カ月]権限濫用の人権蹂躙だ(沖縄タイムス18日)
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/80264
勾留2カ月「健康状態が心配」 沖縄・基地反対運動リーダーの釈放求め声明(沖縄タイムス12月18日)
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/76227


posted by JCJ at 09:48 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック