2017年02月04日

闇に葬られたPKO部隊 ズサンな公文書の扱いに唖然=布施祐仁

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊が作成した日報が、すべて即日廃棄されていたことが分かった。
 派遣部隊の日報は、日々の活動状況について上級部隊(中央即応集団司令部)に報告するために作成されている。
 私が入手した別の陸上自衛隊内部文書によれば、その日に発生した「不測事態」(トラブル)の詳細などが記され、後に教訓をまとめて訓練などに反映させる上での原資料としても用いられている。

■9月情報開示請求

 筆者は、昨年7月に南スーダンの首都ジュバで大規模な武力衝突が発生した期間の自衛隊の状況について調べるため、9月末に同期間の日報を防衛省に開示請求した。約2カ月後の12月2日付で、同省から「既に廃棄しており、保有していなかった」とする不開示決定通知書が届いた。
 この決定には強い違和感を持った。派遣部隊の日々の活動状況について記録した貴重な一次資料が、半年も待たずに廃棄されていたのである。暗澹たる気持ちになりながら、このことをツイッターに「これ、公文書の扱い方あんまりだよ。検証できないじゃん」と不開示決定通知書の写真と一緒に投稿したところ、もの凄い勢いでリツイート数が伸びていった。

 陸自の文書管理規則では、PKO関連文書の保存期間は原則として3年と定められている。それがなぜ、半年も経たずに廃棄されてしまったのか。防衛省の説明は、こうだった。
 「文書管理規則では、『随時発生し、短期に目的を終えるもの』については、1年未満の廃棄を認めている。日報は報告が済んだら使用目的を終えるので、これに該当する」(統合幕僚監部)

 唖然とした。報告が済んだら目的終了で即廃棄なんてことがまかり通れば、あらゆる報告文書は国民の目に触れることのないまま闇に葬れることになってしまう。しかし、これは「公文書」だ。公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とうたっている。防衛省の廃棄理由には、公文書が主権者国民の共有財産であるという認識が完全に欠落している。
 この件については、まず神奈川新聞が12月14日朝刊の1面で報じ、続いて東京新聞・中日新聞が24日朝刊の1面トップで大きく報じた。追って、共同通信と時事通信も記事を配信。毎日新聞も共同配信の記事を掲載した。

■不服審査申し立て

 防衛省は、私が開示請求した期間だけではなく、これまでに作成されたすべての日報を同様に廃棄し、1枚も保存されていないという。当然こんなことは信じられないので、私は行政不服審査法に基づいて、防衛省に再度探索するように不服申し立てを行った。

 7月の大規模武力衝突では、自衛隊宿営地のすぐ隣のビルが戦闘現場となり、宿営地にも流れ弾が着弾したと報じられている。その詳細が明らかにされないまま、政府は「南スーダンで武力紛争が発生したとは考えていない」「ジュバは比較的平穏」などと偽って派遣を継続し、昨年12月からは「駆け付け警護」など安保関連法に基づく新任務まで付与した。
 今回の日報廃棄は、安倍政権が自衛隊の海外での軍事活動を拡大しようとする中で、文民統制の根幹に関わる問題である。
 適切な公文書管理と情報公開がなければ、国会も国民も事後の検証が不可能になってしまう。

(ふせ・ゆうじん=1976年生まれ。ジャーナリスト、2013年度「ルポ イチエフ」でJCJ賞受賞、平和新聞編集長をかねている)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年1月25日号


<JCJ機関紙購読・会員加入申込みHP>
http://jcj-daily.sakura.ne.jp/postmail/postmail.html
・タブロイド判8面、毎月25日の発行です。
・年間購読料:3000円(12号分)です。
※会員の場合、機関紙購読料は会費に含まれています。

posted by JCJ at 03:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック