2017年03月05日

麻生に傷つくと賭け麻雀市長報道をNHK自粛?=白垣詔男

 昨年12月22日、西日本新聞朝刊が「特ダネ」として福岡県飯塚市長の賭け麻雀問題を1面トップで報じた。飯塚市長は職員の勤務時間中に、副市長や同市が公共事業を発注してきた企業の幹部らとともに、既に営業をやめていた元麻雀荘で賭け麻雀をしていたという内容だった。
 NHKや民放はその日の昼のニュースで、他の新聞はその日の夕刊で「追い掛け報道」をしたのは当然だった。そのなかでNHKは、昨年1月13日に、市長と副市長が元麻雀荘に入っていく場面を撮影していた映像を流した。映像の隅に撮影年月日を掲載していた。市長が旧麻雀荘内の階段を上っていく様子も写っていた。
 NHKはその映像を撮影した昨年1月13日に、市長らの賭け麻雀を知っていたと考えるのが当然だろう。それなのに、そのときは報道しなかった。なぜなのだろう。そこには、同市長が同じ地域を地盤としている麻生太郎副総理兼財務相の息のかかった人物であることと無関係と考える人はいないだろう。
 麻生さんといえば、父親がともに同じ筑豊地区の炭鉱経営者、籾井勝人前NHK会長を安倍晋三首相に推薦したとみられている。NHKの「飯塚市長の賭け麻雀」報道自粛も、麻生―籾井ラインによる水面下の力が働いたとみてもおかしくない。
 では、NHKはなぜ、そう疑われるような証拠となる映像を11カ月後に放映したのか。「私たちは1月に市長らの賭け麻雀を知っていた」ということを誇示したかったのか。その心理は報道関係者としては分かる。しかし、今回の場合は、知っていて報道しなかったことを疑われ、「籾井会長のNHKは麻生さんに不利になるようなことはしたくない」と「籾井さんのNHK」が「アベチャンネル」と言われる一端を露呈した点では大いなる損失になる。NHK福岡放送局はそう考えなかったのだろうか。
 市長は、その後「賭けないで麻雀する人がいますか、いませんよね」と放言≠オて自らの首を絞めて辞任した。この市長の言動は、あきれ返ってモノが言えないひどい内容だった。

 ところで、麻生さんと福岡県の政界の関係について言えば、自らが支援する衆議院福岡1区の井上貴博議員が、自民党の勉強会で「マスコミを懲らしめるには、広告を出さなければいい。私が商工会議所時代に広告を拒否しようとしたら効果があった」旨の発言をした。
 また高島宗一郎福岡市長が昨年の建国記念の日に改憲を主張する日本会議のパーティーに出席して祝辞を述べたこと(現在、市民が「憲法違反」として提訴している)など、反知性的で軽率な言動をする政治家に囲まれているという印象が強い。
(JCJ代表委員)
*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年2月25日号


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posted by JCJ at 14:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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