2017年04月06日

PKO撤収、「なぜ今、発表か」=白垣詔男

 安倍晋三首相は10日夕方、突然、記者の囲み取材に応じて、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)を5月末に撤収させると口早にしゃべり、質問を受け付けずに 立ち去った。撤収理由を「派遣から5年を経て活動に区切りが付いたからだ」。
 この問題を新聞各紙は12〜14日朝刊社説で取り上げた。「『治安悪化』なぜ認めぬ」(朝日)、「不透明さ残る政府説明」(毎日)、「納得できない政府の説明」 (西日本)と3紙は政府の説明を批判。
 それに対し読売「任務の『区切り』の判断は妥当だ」、産経「国際貢献へ不毛議論排せ」は政府発表に批判はもちろん疑問も抱かない。権力監視が大きな役割の「ジャ ーナリズム」を放棄して「政府応援団」と言われ、新聞としてみっともない姿勢だ。

 ところで、なぜ唐突に10日に発表したのか。西日本だけが「森友学園問題で野党の追及を受ける安倍政権が、政権運営のリスクを減らしておこうと考えた可能性も捨 てきれない」と指摘したが他紙は不問だった。
 10日は東日本大震災・東電原発事故から6年を迎える節目、11日の前日。安倍政権が、10日から「震災から6年」のニュースがあふれ、PKO撤収について、 「治安悪化」のせいだと言及される度合いが、ニュースの少ない日よりも少ないと考えたとしても、この政権の「不都合なことは堂々と発表してこなかった」体質から判 断すると不思議ではない。
 さらに、安倍首相は13日の参院予算委で「(陸自撤収について)昨年9月から国家安全保障会議(NSC)を中心に具体的検討を始めていた」と述べた。これも不自 然ではないか。現在派遣されている陸自部隊は昨年12月に派遣された。NSCが(撤収の)具体的検討を9月に始めていたのなら、その結論が出るまで派遣すべきで はないと考えるのは当然ではないか。この安倍答弁の矛盾について新聞はじめマスコミは論評していない。

 憲法違反の、集団的自衛権の行使を認めた安保法制成立後、初のPKO派遣なので安倍政権は是が非でも自衛隊を派遣させたかった。その実績づくりだけが目的の派遣 で、治安情勢が悪くなったから撤収を決めた、それをニュースが比較的目立たない日に唐突に発表したと考えるのが「正解」だろう。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年3月25日号


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