2017年04月06日

激動の朝鮮半島情勢=伊藤力司

 朝鮮半島情勢が激動している。
 2月13日にマレーシアの首都クアラルンプール空港で、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄金正男氏が毒殺された。3月6日北朝鮮は弾道ミサイル4発を日本海に向け 発射、3発が日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。3月10日韓国の憲法裁判所は、国会で弾劾され職務停止中の朴槿恵大統領を罷免した。
 金正男毒殺事件は化学兵器禁止条約で禁止されているVXガスが使われたこと、マレーシア警察が容疑者と断定した北朝鮮国籍の4人の男が事件後に帰国したことなど から、北朝鮮の独裁者金正恩委員長の命令を受けた国家テロであることは自明の理だ。
 北朝鮮は昨年10月、中距離弾道ミサイルを発射したのを最後に2月中旬まで挑発行為を控え、1月に発足した米トランプ政権との対話を模索していた。3月初めニュ ーヨークで予定されていた米朝非公式協議は、金正男暗殺事件の余波で流れた。毎年行われる米韓合同軍事演習が3月1日に始まったことに対抗して、3月6日のミサイ ル4発発射となった。

 韓国憲法裁は、朴槿恵前大統領が長年の友人崔順実氏に国政関与させたことを国家 公務員法違反と認定、崔氏の支配する財団への寄付を企業に要請したことを大統領 の地位と職権を乱用したと断じ、裁判官8人の全員一致で大統領罷免を決定した。
 その背景には、昨年10月以来20回に及んだ韓国大衆の「ロウソク・デモ」があった。朴大統領による国政の「私物化」に抗議、首都ソウルをはじめ全国至る所で老 若男女の総計1600万人が、ロウソクを掲げて朴大統領に抗議の意思をぶっつけ続けたのだ。
 次の大統領を選ぶ投票日は5月9日に決まった。当面の最有力候補は革新系野党「共に民主党」前代表の文在寅氏(64)。文氏は北朝鮮との対話路線に前向きで、 閉鎖中の開城工業団地(南北共同プロジェクト)の再開に意欲的だ。
 また、中国が猛反対のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の韓国配備にも消極的だ。とすれば、北朝鮮としては文氏の当選を期待し、当面ミサイルや核実験などの 挑発行為を控えるのではあるまいか。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年3月25日号


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