2017年04月07日

安倍政権「情報隠し」一段と強化 経産省施錠、メディアの抗議を一蹴 国民の「知る権利」損なう=橋詰雅博

 2月末から「情報管理を徹底する」という名目ですべての執務室の扉を日中でも施錠した経済産業省の異様な措置に、取材が規制されると経済産業記者会は撤回を申し入れた。だが世耕弘成大臣は拒否。メディアの要求を一蹴する安倍政権の情報隠し≠ヘひどくなる一方だ。

◇疑問抱く閣僚も

 執務室を施錠したのは経産省が入る本館と、資源エネルギー庁などが入る別館も含まれる。東京・霞が関の中央省庁の中で、全執務室を施錠したのは経産省だけ。前身の通産省時代を含め経産省は民間人も自由に出入りができるオープンな役所だった。それがガラリと変わったのだ。経産省のやり方を疑問視する閣僚もいる。
 山本有二農林水産相は「閉鎖社会をつくるようなイメージであるなら、検討を加える必要がある」と指摘。山本公一環境相も「好ましいことだとは思っていない」と発言した。
 世耕大臣は指示していないと言うが、「密室化」に加えて、広報室は、作成した非公表の取材対応マニュアルを職員に配布。取材には課長、室長以上の幹部が応接スペースで対応し、同席した別の職員がメモを取り、その内容を広報室に報告する、庁舎外での取材は原則応じないなどと定められている。

◇社説などで反論

 メディアの反発は速かった。テレビは施錠された執務室の映像を流し、新聞各紙は一斉に批判記事を掲載。社説でも「異常な情報管制の発想」(毎日)、「世耕氏には記者が『敵』なのか」(読売)、「密室化は不信を招く」(朝日)などと主張した。
 日頃、安倍政権寄りの紙面づくりをしている読売が、何回か大きく報じていたのは意外だった。社論に反するような事柄ではないので正面切って反論した。
 本紙は経産省広報室と、記事に共鳴したので経済分野を束ねる経済部長の話を聞きたいと読売新聞東京本社広報室にそれぞれ取材を申し入れたが、残念ながら返事はなかった。経産省を取材した記者はこう言う。
 「職員は『すいませんね、大臣が勝手に始めたことで、ご迷惑かけて』とまず断り、取材に応じていますよ。これが職員の本音でしょう」

◇信頼回復を狙う

 世耕大臣がこんな措置に踏み切った理由について、2日の参院予算委でこの問題を取り上げた民進党の杉尾秀哉議員がこう解説する。
 「2月の日米首脳会談で日本政府はトランプ大統領へのお土産として年金積立金管理運用独立行政法人が米国のインフラ事業に投資する計画を立てていた。ところが安倍首相の訪米前に新聞が報じた。経産省官僚がメディアに情報を流したからです。世耕大臣に対して安倍首相などが激怒したそうです。結局、この投資話は首脳会談では出ませんでした。またロシア経済分野協力担当相を兼任する世耕大臣は昨年年末の日露会談でも成果を出せなかった。安倍首相の信頼を取り戻すため情報管理の徹底に手をつけたと思います」

◇前代未聞の措置

 杉尾議員は続ける。
「経産省の特定秘密保護法に基づく特定秘密指定件数は数件。極めて少ないのに全執務室の施錠、職員への取材対応マニュアルの配布は、やりすぎ、前代未聞。これでは職員は委縮するし、記者も職員との接点をなくす。お互い切磋琢磨する機会が奪われる。プラスにならない」
 安倍政権下では、南スーダンの日報を破棄したと非開示(後日、保管が判明)、大阪府の国有地の売却記録を財務省が破棄と情報隠しが目立つ。経産省施錠もその延長線上にある。
 国民の知る権利が損なわれる。オープンな経産省に戻すべきだ。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年3月25日号

<JCJ機関紙購読・会員加入申込みHP>
http://jcj-daily.sakura.ne.jp/postmail/postmail.html
・タブロイド判8面、毎月25日の発行です。
・年間購読料:3000円(12号分)です。
※会員の場合、機関紙購読料は会費に含まれています。

posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック