2017年04月07日

正念場迎える日本の報道機関=吉原 功

 「憲法70年の年明けに、『立憲』の理念をより深く」(朝日)、「歴史の転換、日本の針路は、世界とつながってこそ」(毎日)、「反グローバリズムの拡大防げ、トランプ外交への対応が必要だ」(読売)、「揺れる世界と日本、自由主義の旗守り、活力取り戻せ」(日経)「年のはじめに考える、不戦を誇る国であれ」(東京)、「年のはじめに 自ら日本の活路を開こう」(産経)。東京発行5紙の2017年元旦社説タイトルである。
 米国におけるトランプ政権誕生への戸惑い、危機意識という点で共通している。欧州で表面化してきたポピュリズム・大衆迎合主義が更に加速し、世界経済や自由・民主主義という「普遍的」価値が「排外的ナショナリズム」によって崩壊するかもしれないという危機感だ。

 この危機感は筆者も共有するのだか隔靴掻痒の感はぬぐえない。自由と民主主義の中味を問うていないからである。トランプは「反グローバリズム、米国第一主義」を唱えているが、それが「新自由主義的グローバリゼーション」に反対しているかのように報じられる。果たしてそうか。
 国際NGOオックスハムは世界人口の半分、36億人の資産総額と同等の資産を富豪8人が所有と発表した。世界中の資産が年々少数の富豪に集中しているのは「新自由主義的グローバリゼーション」の「成果」なのであり、トランプがこのプロセスに異議を唱えているとは誰も思っていないだろう。
 トランプは口癖のようにフェイク・ニュースと言いメディアを攻撃する。大多数の人が本人の言説こそフェイクだと思っている。
 不思議なのは日本のメディアの多くが、選挙中だから仕方がないというような報道をしていたことだ。選挙は、選挙民が事実・真実を知り、それを分析・判断して投票することによって民主主義の制度になるのである。

 さて、日本はどうであろうか。安倍政権の支持率の高さは一足前にこの地でポピュリズム政府が成立していたことを示すのではなかろうか。
 公開される各種公文書の内容が黒塗りで隠されていることは、必要な情報を国民に知らせないという体制がすでに出来上がっていることを示している。
 現政権は共謀罪で法体系を完成に近づけようとしている。残すは憲法改正とばかりに。
 この政権の特徴は徹底的に対米従属であることと古色蒼然とした右翼思想に染まっていることだ。安倍首相の2度にわたるトランプ詣でと森友学園騒動がそれを象徴している。

 この政権をネトウヨや日本会議や在特会のような「草の根右翼」が支えていることにもっと注目すべきであろう。
 東京MX「ニュース女子」のヘイト沖縄放映は、「草の根」をより大きく育てるための試みかもしれない。報道機関の正念場である。
(JCJ代表委員)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年3月25日号

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