2017年04月26日

迷走が目立つトランプ米大統領=伊藤力司

 大統領就任から3カ月、トランプ米大統領の迷走が目立っている。昨年の大統領選挙戦の間にぶちまくっていた重要公約、オバマケア(オバマ前大統領が法制化した医療保険制度)を廃止し て、新しい保険制度を導入するとの方針が米下院で断念された。
 鳴り物入りで発表されたイスラム圏7カ国からの移民の入国禁止の大統領令が、いくつかの州の裁判所で憲法違反と裁定された。この結果、トランプ政権のいわばテロ対策の柱が折れてしま った。アメリカの司法は日本と違って、行政からしっかり独立している。
 内政・外交の重要公約が二つとも瓦解したトランプ政権は4月6日、突如としてシリア北部のアサド政権空軍基地に、地中海の米軍艦船から巡航ミサイル59発の攻撃を加えた。アサド政権 が化学兵器を使って反政府地域住民を殺傷したことに対する懲罰だという。
 オバマ前政権時代の米国は、シーア派系のアサド政権が非民主的だとしてスンニ派系の反政府側の武装勢力を支援してきた。しかしロシアとイラン、レバノンのシーア派武装勢力ヒズボラの 支援を得た政府軍が要衝アレッポを制圧したことで、内戦の帰趨が見えてきた。
 ロシア・プーチン大統領と親しいトランプ大統領は、オバマ前政権と違ってロシアが支援するアサド政権の存続を容認するものとみられていた。その矢先のアサド側への反転攻撃。これを米 国防総省はじめ旧来の米支配層はこぞって支持した。
 この逆転劇にはトランプ政権の中枢での権力闘争があったようだ。トランプ氏の選挙戦を支え、政権入りし「超右翼」のスティーブン・バノン首席戦略官が失脚したらしい。バノン氏はキリ スト教文明が最高、イスラム教は撲滅すべき対象と考える思想家だ。しかしトランプ氏の娘婿ジャレド・クシュナー大統領顧問と対立して敗れた。
 トランプ大統領は、マティス国防相、マクマスター大統領補佐官ら軍人出身スタッフと、彼らに同調したクシュナー大統領顧問の主張を汲んでシリア攻撃に踏み切った。しかし世論調査では 、シリア爆撃を支持する50%、支持しない41%という結果だった。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年4月25日号


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