2017年04月26日

警察が市民監視 共謀罪先取り大垣事件=加藤 剛

 「警察の市民監視は憲法違反」と主張して岐阜県大垣市の市民4人が大垣警察を管轄する岐阜県に損害賠償を求めた裁判の第1回口頭弁論が3月8日岐阜地方裁判所で開かれた。  事件が共謀罪の先取りとして注目されたこともあって、裁判所前には140人が集まった。
勉強会など監視
 原告は大垣市の養鶏業三輪唯夫さん、寺院住職の松島勢至さん、法律事務所職員船田伸子さん、市民活動家近藤ゆり子さん。事件は7月、朝日新聞の記事で明るみに出た。
 中部電力の子会社シーテックKKが岐阜県大垣市の伊吹山麓に風力発電所の建設を計画、それを知った三輪さん、松島さんら周辺の住民が生活への影響を心配して勉強会や相談会を開いたと ころ大垣警察署が参加者の動向を監視した。
電力会社に流す
 警察は監視の結果得た情報を電力会社に知らせ「反対運動が起きるかもしれない」と耳打ちした。そして「勉強会の中心人物は三輪・松島の2人で法律事務所に出入りしている。法律事務所 の女性職員船田は病気療養中だが治れば動き出す。近藤という女性の活動家は東大中退で弁も立ち、中部電力の株主総会で発言するなど風力発電の問題に関心を持っている。反対運動にこの人 が加わると厄介なことになる」などと注意を促した。
 このため4人は去年12月損害賠償を請求した。裁判を支援する市民団体「『もの言う』自由を守る会」も結成された。
三輪氏意見陳述
 三輪さんが「なぜ監視の対象となり、情報が企業に流されるのか」と意見陳述した後、山田秀樹弁護団長が訴状の趣旨説明を行った。
・勉強会の情報収集は、表現の自由を侵害し、市民運動に干渉する違法な公権力の行使だ。
・企業への情報提供は、不偏不党・中立公正を旨とする警察法に違反する。
・住民監視は人権侵害であり、警察にはそれを正当化する根拠がない。
被告は出廷せず
 一方、法廷に姿を見せなかった被告側は答弁書で「請求の棄却を求める」と全面的に争う態度を示した。ところが訴訟の本体ともいうべき市民監視の事実や企業に提供した情報について認否 を拒否した。その理由として被告側は「警察が情報を収集していることが明らかになっただけでも今後の情報収集活動に支障をきたす。情報の内容を明かせば対象者が対抗措置を取って不法行 為をすることも考えられ、公共の安全が脅かされることになる」などと主張した。
 このため原告側は「事実の認否を拒否するのは民事訴訟法違反だ」と厳しく批判し、被告に対して事実の認否を強く求めるよう裁判長に要請した。次回は5月17日(水)10時から304 号法廷。
(東海支部)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年4月25日号


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