2017年05月02日

文春記事、報道への圧力顕著/報告集会で英誌記者が批判

 元朝日新聞記者の植村隆さん(現・韓国カトリック大学客員教授)が起こした名誉棄損訴訟の第8回口頭弁論が4月12日、東京地裁で開かれた。原告側弁護団は、週刊文春の記事などで植 村さんの「平穏な生活を営む権利」が侵害されたと主張し、名誉棄損に加えて、新たな不法行為として法廷に示した。
脅迫を誘発する
 口頭弁論後の報告集会では、成蹊大学法科大学院の渡邉知行教授が平穏生活権について説明した。具体的には原発事故による放射能汚染で避難した人、米軍横田基地の騒音被害を受けた人な どが、平穏生活権の侵害を訴えてきた。
 今回の植村さんのケースは、西岡力氏が元従軍慰安婦に関する植村さんの記事を「捏造」と中傷し、週刊文春が西岡氏のコメントと、植村さんの就職先大学名などを報じた。その結果、この 記事をもとにした植村さん攻撃がネット上で誘発され、大学へ脅迫状が続き、家族にも死を求める脅迫が届くなど、植村さんを「恐怖のどん底に陥れた」(弁護団)。これらが平穏生活権の侵 害にあたると渡邉教授は話す。
 植村さんの就職先大学名を報道する社会的な利益と、彼がネット上などで脅迫された被害を比較した場合、報道の自由を超えて、植村さんが受けた被害は大きく、プライバシーの侵害は明ら かだという。この記事を書けば、ネット攻撃が広がると誰もが予見できる中で、あえて報道した文春の責任は重いとした。
 また英エコノミスト特派員のデイヴィッド・マクニール氏が「植村バッシングとメディアへの攻撃」の題で講演した。話題にしたのは「国境なき記者団」による報道の自由度ランキング。日 本は2012年は最高の12位だったが現在は72位に大きく下落した。フリーダムハウスのランキングやエコノミスト誌の民主主義指数でも日本は下落したと指摘した。
「強制」使わない
 さらにNHKの「悪い変化」にマクニール氏は焦点を当てた。籾井勝人前会長時代に「微妙な問題は議論しない」という圧力が高まった。英タイムズがNHKの国際放送で使うガイドブック 「オレンジブック」の内容を報じた。それによると「南京大虐殺」という表現は使わない、慰安婦問題で「強制」の表現は使わないなどとなっている。報道規制のためだ。
 外国人記者への圧力もある。歴史の記事を頻繁に書いたドイツ人ジャーナリストは日本の外務省の標的になった。彼の働く本社に「彼は中国のスパイか」と問う嫌がらせ電話があったという 。外国人記者への嫌がらせが相次いでいるのが日本の現状だ、と批判した。
 集会では、植村裁判の支援者で精神科医の香山リカさんも登壇。日本文化チャンネル桜(チャンネル桜)と「沖縄の声」キャスターの栗秋琢磨氏らを提訴したことを明らかにした。香山さん に対し、「医師法違反の疑いで監査が入った」など虚偽の放送を繰り返したという。香山さんは根拠の無いデマと闘う決意を表明した。第1回口頭弁論は5月11日11時から東京地裁で開か れる。
(JCJ月刊機関紙編集部)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年4月25日号

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