2017年07月16日

【今週の風考計】7.16─猛暑お見舞い、私の「緑陰図書と音楽」

「猛暑日」が日本列島を覆う。北海道・帯広市では37.1度を記録し、35度以上が3日も続く。1925年以来92年ぶりという。いかにしのぐか。高地へ涼風を求め遠出したいところだが、そうもいかない事情を抱え、部屋のクーラーを利かせ、「緑陰での本と音楽」とシャレこむしかない。そのおすすめが、まずは高杉良『めぐみ園の夏』(新潮社)。朝鮮動乱が勃発した昭和25年、両親に見捨てられた小学6年の亮平は、孤児の生活施設「めぐみ園」に放り込まれる。厳しい食糧事情、悪ガキにいじめられ、園長夫妻の理不尽な扱いを受けながらも、亮平は持ち前の機転と正義感で、自らの道を切り拓いていく自伝的小説。BGMに流す音楽は、イタリアの作曲家バルトロメオ・カンパニョーリ(1751〜1827)の「フルート協奏曲 ト長調/二重奏曲 Op. 2」(ダイナミックCDS273)。管楽器の音が爽やかに響く。次は西村健『最果ての街』(角川春樹事務所)。東京のドヤ街がある「山谷」でホームレス殺害事件が起きた。警察は真剣に捜査しない。山谷労働出張所長の主人公は、被害者の親族を探そうと懸命に。やがて被害者の意外な過去が明らかになる。行くべき場所を失った人々が流れ着く「山谷」と「3・11後の福島」とを結ぶ、さまよう人間のドラマを描いた社会派長編ミステリー。これにはロシアの作曲家マクシミリアン・シテインベルク(1883〜1946)の「交響曲 第4番<トルキスタン風>」(ダットンCDLX7341)を流す。過去と現在をつなぐラプソディーのある3楽章がいい。彼はリムスキー=コルサコフの愛弟子で、のちにショスタコービッチを世に送り出した。猛暑、ご自愛を。(2017/7/16)
posted by JCJ at 10:26 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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