2017年08月04日

「愛国」おしつける安倍政権の遠謀=清水正文

 小学校の学習指導要領が改訂され、2020年度から、全国一斉に実施される。さらに、来年度からは、初めて「道徳」が小学校で教科に加えられ、授業が必修になる。
 改訂された学習指導要領は、一時期、言われた「ゆとり教育」とは、対極にある「つめこみ教育」を目指す内容となっている。現行の指導要領は、そのまま内容を維持し、さらに小学3・4年生では外国語活動を、5・6年生では教科としての外国語授業を増やしている。

 4年生の授業は、なんと年間1015時間となり、学校6日制であった1989年と同じ時数となっている。今の週5日制で、これを実施すれば、毎日6時間の授業となり、子どもにかかる負担増は、はかりしれない。
 英語教育を早期に行うという方針も、外国語教育の専門家からは、ことごとく反対の声が挙がっている。しかも、小学校で英語教育の免許を持っている教師は、わずか5%でしかない。この実態を踏まえると、「無免許運転」にならざるを得ないとも言われている。

 教育と学校に対する管理強化が進み、幼稚園の教育要領や保育指針にまで、「国歌に親しむ」ことがうたわれ、中学の体育では、相手の喉元や心臓をねらって突く「銃剣道」を取り入れるカリキュラムまで組まれている。あのアジア太平洋戦争での軍事教練を、彷彿とさせる。
 「道徳」の教科化をめぐっては、メディアで報道されてもいるが、呆れた検定が批判を浴びている。その検定の一つ、「パン屋さんを和菓子屋さんに書き換えよ」など、考えられない事態が進んでいる。

    また、安倍内閣は「憲法や教育基本法などに反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることはない」と、教育勅語容認の立場を明らかにする閣議決定を行った。
 すでに「道徳」の教科書が検定され、8社66点が合格している。このうち教育出版が発行する「道徳」教科書について、触れておかねばならない。

 たとえば小学2年生で学ぶ「国旗・国歌」に関しての記述が、他社と比べて異常に大きく、偏った取り上げ方になっている。5年生の「下町ボブスレー」という教材には、わざわざ安倍首相の写真まで載せている。
 なぜこのような記述・内容の教科書になったのか。これまで育鵬社の中学社会科の教科書を編集してきた「日本教育再生機構(八木秀次理事長)」の道徳教育の中心メンバーが、編集執筆者に名を連ね、かつその流れをくむ貝塚茂樹氏(武蔵野大学教授)と柳沼良太氏(岐阜大学大学院准教授)が、この教育出版の「道徳」教科書を監修しているからである。
 育鵬社版のダミーともいうべき教科書が採択され、子どもたちの道徳教育が行われないよう、反対の世論を広げていく必要がある。

(JCJ代表委員)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年7月25日号

posted by JCJ at 09:43 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする