2017年08月25日

《出版界の動き》ちっぽけな出版の世界にも露骨に現われてきた「一強支配」は、この国の「文化の危機」でもある=田悟恒雄

 「書店ゼロの自治体、2割強に」という、24日付の朝日新聞記事には、商売柄、さすがに驚きを隠せません。
 「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増え、北海道58、長野41、福島28… いやいや、もう結構。なかでも、従来から読書人口が多いと見られてきた信州の「41自治体」は、ショッキングでした。
 書店調査会社アルメディアの調べでは、この5月現在、全国の書店数は1万2526軒で、2000年の2万1654軒から「4割強も」減っているとのこと。
 お題目のように唱えられてきた「活字離れ」はもとより、「読書人口」どころか、そもそもの「人口」が減っている。そして何より、雑誌はインターネットに食われ、書籍も、アマゾンなどネット書店の鼻息の荒さを前に為す術を失ってしまった。

 そして、最盛期(1986年)の半分ほどに落ち込んでしまったパイをめぐり、大手書店チェーンによる「仁義なき出店競争」が展開され、「街の書店」は次々弾き出されるばかり。
 その結末が、「書店ゼロ自治体」となるわけです。
 そんなこともあり、最近になってようやく、わが出版界のあちこちから、アマゾンの芳しからぬ風評が頻繁に聞こえてくるようになりました。
 つい最近の出来事でも、公取に目を付けられて「見直し」を余儀なくされた「電子書籍契約の最安値条項」や、「日販への突然のバックオーダー発注終了通告」(Cf.「前門のアマゾン、後門の取次」)など、「一強の横暴」は枚挙にいとまがありません。

 「一強支配の弊害」は、べつに政治の世界の専売特許ではありません。このちっぽけな出版の世界にも、同じ弊害(独占)が露骨に現われてきた、ということなのでしょう。
 では、この国の「文化の危機」ともいえる状況を前に、読者は何をなしうるのでしょう?
 まずは、「リアル書店」で本の実物を確かめる習慣を取り戻したいこと。そして「ネット通販」を利用するにせよ、他の「ネット書店」にも広く目配りするなど、アマゾンへの一極集中を避ける試みも考慮されるべきかもしれません。

(「零細出版人の遠吠え」08/24より http://www.liberta-s.com/
posted by JCJ at 10:05 | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする