2017年08月29日

≪リレー時評≫NHK「クロ現+」にみる権力代弁=白垣詔男

 NHK会長が籾井勝人さんから上田良一さんに代わって半年、7月29日に福岡市で「NHKを考える福岡の会」主催の「NHK これでいいのか? 言いたか放題」と名付けた集会があった。「言いたか」は博多弁で「言いたい」の意味だ。大牟田市や福智町などの遠隔地からも含め50人が参加して発言が途絶えることなく盛況だった。
 初めに「最近のNHK」について事務局の私から2点を報告した。@6月19日午後10時からの「クローズアップ現代+」<波紋広がる特区選定=`独占入手 加計学園新文書=рノついて、文書を入手した社会部が政府の疑惑姿勢≠ノ言及したのに対し政治部・原聖樹記者(首相官邸記者クラブキャップ)が国家戦略特区諮問会議有識者議員の言い分を代弁する解説をしたAテレビを持たなくてもパソコンやスマートフォンを持っている人から受信料を徴取しようという動き―。

 このうち、@の加計学園新文書≠ノついては、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表で東大名誉教授の醍醐聡さんが中心になって7月24日に要旨次のような質問を原記者に送った。
 「原記者が『すべての決定の過程が議事録に残っている』と解説したが、重要な意思決定の過程が議事録に残されておらず、事実に反する。原解説は事実に反する関係者の主張を主体的に検証することなく紹介した」「原解説の中に、諮問会議有識者議員の真実でない発言を冷静に見極めることなく、そのままなぞる内容だったのは『NHK放送ガイドライン2015』(正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫ることが大切である。虚構や真実でない事柄が含まれていないか冷静な視線で見極めようとする姿勢が求められる―など)に反する」「原解説は、特区選定の手続きは適正で違法性はないと諮問会議有識者議員の主張をなぞった」―など。
 これに対し、NHKは7月31日付で次のような回答をしてきた。
 「ご指摘のあった政治部・原記者の解説は、番組のテーマである国家戦略特区の選定に関して、国家戦略特区諮問会議の立場や見解についても政府内外の取材を尽くしたうえで、より多角的な観点から理解や議論を深めていただこうと行ったものです。特区選定の報道に関しましては、視聴者の皆様から多様なご意見・ご指摘を頂いており、それぞれ貴重なご意見として受け止めさせて頂くとともに、今後の番組制作にいかしてまいります。2017年7月31日 NHK クローズアップ現代+」

 回答内容は、「原解説は正当で権力を代弁した」ことを認めたものと言える。「政府内外の取材を尽くしたうえで、より多角的な観点から」諮問会議の代弁だったとは。NHKの官邸記者クラブのキャップの姿勢が、いかにお粗末なのかも認めたと言ってもいいだろう。
(JCJ代表委員)


JCJ機関紙「ジャーナリスト」8月25日号より

posted by JCJ at 10:24 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする