2017年08月30日

スノーデン氏インタビューの小笠原みどりさん記念講演=須貝

「全てを見張る」日本でも〜〜共謀罪の批判は重要
 「全てを収集する」という米国の方針で、個人情報は全て監視されている――ジャーナリストの小笠原みどりさんは8月19日、JCJ贈賞式の記念講演で、エドワード・スノーデン氏が暴露した機密文書の意味を語った。
 スノーデン氏は米国の通信傍受を専門にするスパイ組織、国家安全保障局(NSA)の契約社員だった。NSAはスパイ活動のため全米から数学者を集めている。スノーデン氏は大量・無差別の個人情報(メールやチャット、ネットの閲覧履歴)の収集を疑問視し、2013年6月に機密文書を暴露した。

グーグルなどネット大手9社も協力
 証言によれば、NSAの主要な監視ルートは大陸間を結ぶ海底ケーブルだ。大手通信会社が設けたケーブル上陸地点の施設にNSAが部屋を確保。電話の内容など全情報をコピーしている。グーグル、アップルなどインターネット大手9社の協力で、個人のネット検索、メール内容なども掌握している。
 2016年5月、小笠原さんはネットを通じてモスクワに亡命中のスノーデン氏にインタビューした。彼女が問題にしたのは、NSAの無差別監視が日本でどう起きているかだ。インタビューで、東京の米軍横田基地にNSAの日本本部があり、スノーデン氏は2009年から会社員を装って横田に勤務していたことがわかった。
 今年4月、新たに日本に関するスノーデン文書が公になった。米国の調査報道メディア「インターセプト」とNHKが特ダネで報じた。NHKは定時のニュースと「クローズアップ現代+」で取り上げた。だが「米国に監視される日本」という話が中心で、日本政府が持つ監視能力や、NSAと組んで何をしているかの報道はなかった。

「エックスキースコア」を日本に提供
 「番組で共謀罪という言葉を一度も使わなかった」ことを小笠原さんは不自然だと語った。ちょうど国会では共謀罪法案(テロ等準備罪法案)が審議中だった。実際の犯罪行為が無くても「会話のレベル」で犯罪を成立させる共謀罪にとって、すべての人の会話の傍受は捜査の上で必須となる。スノーデン文書では、NSAは日本に監視システム「エックスキースコア」を提供とあった。共謀罪と密接にかかわる問題だ。
 沖縄のアンテナ施設「象のオリ」を移設し、ネット監視用の高性能施設をキャンプ・ハンセン内に設けることに日本政府が600億円支払ったことも文書にあった。このことをNHKは伝えなかった批判した。一方で小笠原さんは「NHKにはもっと頑張ってほしい」というエールも送った。
 米国メディアには、政府の秘密などを報道する際に影響を小さくするための「暗黙のルール」がある。その一つが「中道語」の使用だ。記事のインパクトを弱める言葉で、例えばサーベイランス(監視)をバルクコレクション(一括収集)と言い換える。興味深い話だった。

 最後に小笠原さんは共謀罪ができた今、言論の自由は意識的に努力しないと、自然消滅する危機にあると指摘した。日常生活で政治批判ができるよう「批判のボトムラインを上げていくこと」が、情報操作を広げないためにも重要と結んだ。
posted by JCJ at 00:38 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする