2017年08月30日

《リアル北朝鮮》米国に「正しい選択」求める―落しとしどころ模索

 一触即発の状態が続いていた米朝関係に緊張緩和の兆しが見えてきた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が8月14日、朝鮮人民軍戦略軍司令部を視察し、「愚かな米国の行動をもう少し見守る」と述べたと、「労働新聞」15日付が報じた。

 周知のとおり、同戦略軍ではグアム島の周囲にミサイルを撃ち込む計画を検討している。同戦略軍報道官は8日の声明で「グアム島の主な軍事基地を制圧けん制し、米国に警告のシグナルを送るため、中長距離戦略弾道ロケット(ミサイル)『火星12』型でグアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦方案を慎重に検討している」と警告していた。最高指導者の金委員長が様子見を表明したことで、「軍事衝突」の危機はひとまず回避されたといえよう。

 金委員長は、「軍事衝突を避けるためには米国がまず正しい選択をして行動で示すべき」だとも述べたとされる。先の戦略軍報道官声明でも、「米国は正しい選択で、明日になって今日を後悔するべきではない」と主張していた。北朝鮮は緊張を高めつつ、落としどころを模索していたと考えられる。

 実際、北朝鮮では15日を前後して「白頭山偉人称賛国際祝典」なるイベントが開催され、外国から多数の人士を招いている。もし本当に戦争が起きると思うなら、外国人客を招いて呑気に祝典など開くはずもない。

 では、北朝鮮が米国に求める「正しい選択」とは何か。短期的には、軍事演習の中止だろう。中期的には朝鮮戦争停戦協定の平和協定への転換。そのための協議を北朝鮮は繰り返し求めてきた。長期的には、体制を認めさせ、国交を正常化することだ。

 北朝鮮の最終目標は米国による「敵視政策」の転換と核攻撃を含む軍事的脅威の清算だ。それがなくならない限り、「核と弾道ロケットを交渉のテーブルに挙げることはあり得ない」(李容浩・北朝鮮外相)。
文 聖姫(研究者・博士[東京大学])
posted by JCJ at 14:32 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする