2017年09月16日

≪おすすめ本≫チューリップテレビ取材班『富山市議はなぜ14人も辞めたのか─政務活動費の闇を追う』地域メディア各社が連帯して取材し、調査報道の重要性を説く実践報告=鈴木賀津彦(東京新聞)

 本書を教科書にして調査報道の講座を開いたら実り多い議論ができるなあと、イメージを膨らませている。取材し報道する意味について、誰もが素直に理解し共感できる実践報告≠セからだ。
「富山市議会における政務活動費の不正を明らかにした調査報道」で今年のJCJ賞を受賞したチューリップテレビ(富山県)の取材班が、どのように取材したのか、素直に自らの手の内を明かし、緊迫した取材時の緊張や不安なども含めて詳述している。

 本書で気付かされるのは、富山の地域メディア各社が情報公開制度を使ってそれぞれ独自の調査・取材を重ね特ダネを抜いたり抜かれたり、しのぎを削りながらも、議員の不正を浮き彫りにし追及する点では連帯して取材している姿である。
 ジャーナリズムの理念などが特に書いてある訳ではないが、若い記者たちの取材への意気込みなどから、ローカルメディアが今、地域にとっていかに重要な役割を担っているのかが実感できる。
 冒頭に「調査報道の教科書」と述べたが、実は一方で、本書を全国の自治体職員や議会関係者にも熟読してほしいと強く期待している。各地で議会改革が叫ばれ、相次いで議会基本条例が制定されたが、形だけに終わっている現状があるだけに、二元代表制である地方議会の在り方、行政との関係などを変えていく起爆剤としても、本書をぜひPRしてほしい。

 さて、この本を読めば実際のニュースや番組が見たくなる。次に、映像DVD付き書籍にして販売できないだろうか。
(岩波書店1800円)
「富山市議はなぜ…」.jpg


posted by JCJ at 14:16 | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする