2017年10月22日

【今週の風考計】10.22─没後80年の中原中也と<私はもう、嘘をつく心には倦き果てた!>

22日は、詩人・中原中也が没して80年。そして今年、生誕110年になる。青春の切なさや人生の悲しみを詠む詩が多い。<思へば遠く来たもんだ 十二の冬のあの夕べ…>を始め、<汚れつちまつた悲しみに…>など、今でも口ずさむ。自分の悲しみと響き合い、ひたひたと心に染みてくる。

だが忘れてならないのは、死の前年に起きた2・26事件や戦争へと傾斜するキナ臭い世相に、オノマトペや擬態語を混ぜ込みながら、「時代に抗する道化の精神」を、詩に結晶させてきた中也の感性である。佐々木幹郎『中原中也』(岩波新書)を読んで教えられた。

「嘘つきに」と題された詩がある。<私はもう、嘘をつく心には倦きはてた。/なんにも慈むことがなく、うすっぺらな心をもち、/そのくせビクビクしながら、面白半分ばかりして、/それにまことしやかな理窟をつける。…私はもう、嘘をつく心には倦き果てた!>─オッと待って、これは中也の自戒じゃない。当時の軍と議会の馴れ合いがはびこる世相に向けた痛烈なプロテストだ。そう捉えたい。

さて今の日本、何が起きているか。神戸製鋼では自社製品の品質保証データを改ざんし、日産自動車では安全点検の不正、116万台のリコールという前代未聞の事件が起きている。東芝の粉飾会計から商工中金の不正融資まで、まさに嘘のカタマリじゃないか。いやいや永田町・安倍政権が進める国会運営も、嘘と詭弁とごまかしのオンパレード。PKO日報隠し、「森友・加計」疑惑、出した資料はすべてスミヌリ、一つも明らかになっていない。まさに政官財の嘘つきトライアングル。本当に<嘘をつく心には倦き果てた!> (2017/10/22)
posted by JCJ at 07:38 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする