2017年11月24日

《スポーツコラム》働き盛りの深刻な運動不足=大野晃

 体育の日のある10月は、文科省の「体力つくり強調月間」だった。
 スポーツ庁は2016年度の体力・運動能力調査結果を公表したが、30代から40代の低下が目立ち、男性は20年前を下回って、女性は過去最低だったという。週3日以上運動する人が30代の男女は1割余りと、全年代で最低という別の調査結果もある。働き盛りの運動不足が深刻だ。
 スポーツ庁は様々にスポーツを楽しむことを呼びかけているが、そのためには、時間や場所の確保、仲間やアドバイザーの存在、そして費用がかからないことが必須の条件だ。時間の余裕のある人が、高額の施設で指導サービスを受けて自己満足する、で事足れりでは国民スポーツ促進とは言えない。社員の残業を減らすことで消費拡大につなげようとか、スポーツ関連企業へのバックアップでスポーツ熱を高めようでは、国民スポーツは先細りするばかりで、基本的人権であるスポーツ参加が、富裕層の見栄に転化しかねない。スポーツ基本法違反の奨励かと疑われる。
 欧州などで、サマータイムを利用したカヌーやヨット遊びやクラブでのサッカーやラグビーを楽しむ姿を何度も目にしたが、先進国の象徴的な生活スタイルだった。国や自治体が条件整備に力を入れていたからだろう。長引く不景気で困難に直面しているようだが、国民の権利保障の重要な課題にはなっている。
 日本では、安倍政権により過剰労働が当然視され、国の支援が減退して財政悪化を理由に自治体によるスポーツ施設の休廃止が進んだ。働き盛りから時間と場を奪ってきたと言ってもいい。その改革が不可欠である。世界から、最大のスポーツ祭典であるオリンピックを開催する資格を問われる現状なのだ。
 スポーツ庁は社員スポーツを支援する企業の認定を進めているが、それでスポーツ権を尊重する労働条件の改善が進むとは思えない。(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 10:33 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする