2017年12月05日

《月間マスコミ時評・出版》この国は本当に大丈夫か?=荒屋敷 宏

 「総選挙」後である。ある財務省幹部は安倍内閣の選挙を意識しながらの政権運営について「自転車操業」と評したという(「日経ビジネス」11月13日号で安藤毅氏)。

 「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版)11月21日号で寺島実郎氏は、衆院選を総括し、小選挙区制のもとで野党分裂の選挙が与党優位になるのは当然としたうえで、戦後2番目の低投票率(53・68%)と比例代表区での自民党の得票率(33・3%)と絶対得票率(17・9%)に注意を促している。

 寺島氏は「国民は、現在の政治状況が正当なものではないことに気づき始めている。今後は政策を軸にした『リトマス試験紙』のようなものが重要になる」として、「外交や安全保障問題、特に沖縄の基地問題」を挙げる。寺島氏が地方講演に出向いた際に「地元の経済人から『小選挙区は自民に入れざるを得ない。だが、この国は本当に大丈夫か』と危惧する声をたくさん聞く」という。「自転車操業」への不安がマグマとなって臨界点に近づいている。

 「週刊金曜日」11月10日号の「京都・Xバンドレーダー基地と『戦争加担』」(成澤宗男氏)は読み応えがあった。丹後半島の北端、経ケ岬(京丹後市)から西へ約3キロ離れた断崖の上に、北朝鮮から飛来するミサイルをとらえる特殊なレーダー基地がある。米太平洋陸軍の第94防空砲兵コマンド第14ミサイル防衛中隊がいる。

 丹後半島に米軍レーダー基地建設の話が持ち上がったのは2013年2月末。米軍が特定秘密保護法の整備を急がせた理由がわかる。米軍は現在、朝鮮半島における軍事戦略「OPLAN5015」(2015年決定の戦争計画)にもとづいて動いている。日本各地で米軍や自衛隊が危険な訓練をしている。そこから「戦争計画」の実像も見えてくる。成澤氏は朝鮮戦争の被害状況を簡潔に振り返っているが、もしも朝鮮半島で休戦協定が破棄されれば、かつての戦争以上の破滅的惨禍となることは明らかだろう。

 この国の将来を決める鍵言葉は「憲法」だ。「週刊金曜日」11月3日号が「憲法キャンペーン」を開始し、同誌編集長の小林和子氏が「世界」編集長の清宮美稚子氏、「DAYS JAPAN」編集長の丸井春氏とおこなった鼎談が面白い。題して「憲法が危機なら私たちが誌面を通して憲法をとりもどします」。野党共闘の時代に雑誌媒体が「共闘」することも「あり」だろう。3誌のコラボ企画が楽しみだ。
posted by JCJ at 13:28 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする