2017年12月11日

《ワールドウォッチ》アメリカ社会の分断=伊藤力司

 トランプ米大統領の支持率は37%と、戦後歴代大統領の最低を記録した。不支持率は59%で最高だった(10月29日〜11月1日実施のワシントン・ポスト紙とABCテレビの世論調査)。
 就任以来10カ月、メキシコ国境への“長城”建設、オバマケア(医療保険法)改廃など重要公約は実現できず、イスラム国からの移民禁止は国内外の反対で立ち往生。
 米国では同じ共和党の前任者、ブッシュ元大統領父子がトランプ大統領を酷評したことが話題になっている。「彼はほら吹きだ」と父が言えば、息子は「彼は大統領でいることの意味が分かっていない」と返したという(CNNニュース)。
 こうした悪評はニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストやCNN、ABC、NBCなどの有力メディアを通じて全米に流れて大統領不支持率を上げているのだが、37%の固いトランプ支持層はこれらの有力メディアを一切視聴しない。
 彼らが見るのは保守系のフォックスTVであり、読むのはブライトバート・ニュースなどの右翼メディアだけだ。また大統領は反トランプのメディアは「フェイク(にせ)ニュースばかりだ」と、耳を貸さない。
 こうしてアメリカ社会は分断された。人種差別を禁じた公民権法が成立して半世紀を過ぎたというのに、KKK団など人種差別団体が公然とデモを行い、これに反対する反差別派と衝突する事件が相次いで起きている。
 トランプ支持派は南部諸州や「ラスト・ベルト(錆びた地方)」つまり中西部の旧工業地帯に住む白人たちだ。20世紀のアメリカを支えた工場は高い人件費を嫌ってメキシコや中国に移転し、中西部は白人失業者の溢れる地域となった。
 かれらはトランプ大統領の「アメリカ第一主義」が雇用を再建してくれるものと信じて歓迎している。
 こうしたトランプ支持者たちは、大西洋岸や太平洋岸の“開けた都会州”の民主党支持者を軽蔑、自分たちこそ「本来のアメリカ人だ」と信じている。
 彼らは中南米系、アジア系、中東系移民と黒人がアメリカの多数派となることを恐れている。移民系は概して多産であり21世紀後半には白人が少数派になることは必至だが。

posted by JCJ at 15:31 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする