2018年03月04日

【今週の風考計】3.4─反骨の「荒凡夫」俳人・金子兜太さんを悼む

★俳人・金子兜太さんの葬儀・告別式があった2日、あらためて心から哀悼の意を捧げた。「アベ政治を許さない」の紙ボードを掲げ、国会前で抗議の声が響きあう、あの熱気が甦る。いつも金子さんがそばにいた。

★40年以上も前のことだが、金子さんが日本銀行を退職される前年、「種田山頭火」について、その生涯をたどる書き下ろしをお願いしたときの緊張も忘れられない。
★「書きたいと思っていたところだ」と快諾され、退職4カ月後の1974年8月末に『種田山頭火─漂泊の俳人』(講談社現代新書)として刊行することができた。
★この中にも「存在者の生粋の有り態を曝していた山頭火は、<弱者の眼>といおうか、体の奥に潜む眼光は鋭かった」と、泥酔や無頼、放浪と行乞の一生を送った者であれ、その根底にある眼光を、正確に掬いあげている。戦争体験、日銀時代の組合活動や定年近くになれば金庫番、窓際族ならぬ「窓奥族」の日々が下敷きになっているのは間違いない。

★その後、二冊目として「小林一茶」の執筆をお願いした。これも快諾され、東京・新宿住友ビルでの朝日カルチャーセンター主催の俳句講座の先生として、秩父から出てくるたびに1章分ずつ原稿を渡してくださった。兜太名入りの原稿用紙に、あのしっかりした文字がマス目いっぱいに書かれていた。1980年9月中旬、『小林一茶─〈漂鳥〉の俳人』(講談社現代新書)刊行。
★本書で「<荒凡夫>の生命を俳句にぶつけてきた一茶のなかには、<弱きもの>への感応の世界が人一倍色濃く宿っている」と書いた金子さんも、反骨の「荒凡夫」として、98歳の生涯を閉じた。(2018/3/4)
posted by JCJ at 13:51 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする