「安倍政権」がすでに「終活期」に入っている実態を理論的に証したのが本書である。2016年秋の総選挙後に第2ラウンドに突入した「終活期の安倍政権」の性格と構造を鋭く抉り、国民的攻防戦の構図を巧みな比喩を駆使して解き明かしている。
著者は、安倍政権の異常(アブノーマル)を「アベノーマル」と喝破する。安倍政権の、まさにアブノーマル=異常性に迫ると共に、アベノミクスがどのような対策を講じてきたか、また今後いかなる対応策で逃げ切ろうとしているかを解明する。
浜矩子・同志社大学教授が名づけた「どアホノミクス」など、アベノミクスの形容詞は数多い。著者もまた、安倍政権の政策は、不況の原因とデフレという結果の因果関係を取り違える「アベコべミクス」だと指摘する。
初めから賞味期限切れであったアベノミクスを、いくらお色直し、再化粧したとしても、出口のない絶望の迷路と悪循環から脱することはできないのははっきりしている。
本書は、再任が必至とされる黒田東彦総裁率いる日本銀行やアベノミクスの意味不明な「業界用語」の誇大包装を紐解き、金融政策と経済問題の本質、終活期の「アベ政治」の矛盾を明解に分析している。ポスト・アベ政治への「プレリュード(前奏曲)」を奏でる1冊。
(新日本出版社2300円)
