2018年03月29日

≪リレー時評≫ 「日韓反核平和連帯」の貴重な活動=白垣詔男

 一昨年10月に「日韓(韓日)反核平和連帯」という団体が生まれた。4年以上前に日韓両国の人たちが起こした「原発メーカー訴訟」の原告が中心となってできた組織だ。
 それまで、「原発訴訟」は「3・11東日本大震災」後、日本を中心に多く起こされたが、原発メーカーは賠償請求訴訟の被告にはなっておらず、被告は国と電力会社が中心だった。

 そこで、賠償を逃れている原発メーカーにも責任があるとして、日韓両国の人々が東芝、三菱重工、日立を相手に「原発メーカー賠償請求訴訟」を起こした。その原告らがつくったのが「日韓(韓日)反核平和連帯」で、日本側代表は福岡県在住の牧師・木村公一さん、韓国側は司祭の柳時京(ユシギョン)さん、事務局長は神奈川県在住の在日韓国人の崔勝久(チェスング)さん。
 日本側代表・木村公一さんはイラク戦争時に「人間の盾」としてブッシュ米政権のイラク攻撃に体を張って反対を表明したほか、過去にはキリスト教布教のためインドネシアに17年間滞在、インドネシアの従軍慰安婦問題にも積極的に取り組んだ。
 現在も「慰安婦問題」(日本軍≪性奴隷制≫)の歴史と被害者たちの声をユネスコ世界記憶遺産の登録申請のために国連連帯委員会インドネシア副代表としても活動している。

 「日韓(韓日)反核平和連帯」は、結成間もない一昨年10月27日、木村日本側代表、柳時京韓国側代表らが佐賀県唐津市を訪れ、使用済み核燃料貯蔵施設などを唐津市と玄海町(九州電力玄海原発立地町)への誘致しないように、また、玄海原発の再稼働に反対することを求める緊急要請書を唐津市長と同市議会議長あてに提出した。
 今年2月25日には、会員の金信明さんが昨年夏、韓国での会合後の食事中に病に倒れ、いまだに意識が戻らないことに対して同組織が主催して金信明さんを激励する集会が福岡市のプロテスタント教会であった。
その席には、金信明さんの親友、歌手・趙博さん(通称パギヤン)が駈け付け、会員や支援者ら50人以上が集まった。パギヤンは「アベ・イズ・オーヴァー」を歌った「浪花の歌う巨人」として知られる。

 その席で崔勝久事務局長は「会として、米国の日本原爆投下の賠償責任を問う裁判を米国で起こす準備をしている」と表明して注目された。原告には原爆被害者で現在韓国在住者の数人が名乗りを上げているが日本人はまだ誰も原告になっていいという人がいないので、今後、この運動を広めたいとも述べた。
 日本への原爆投下を裁判で問うことになれば世界的に注目されるとともに、米国民の多くからは強い反発もあると想像できる。「日韓(韓日)反核平和連帯」の今後の活動に親近感を寄せながら見守りたい。

posted by JCJ at 09:31 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする