2018年04月15日

【今週の風考計】4.15─海賊版「漫画村」サイトの遮断に潜む危険

漫画が無料で読める海賊版サイトが横行している。著作権を無視し勝手にアップロードし配信する海賊版サイトによる漫画家・出版社の被害は、3千億円を超えるという。
こうした経済的利益の侵害を防ぐため、一般の人がアクセスできないようにする「ブロッキング」対策が急浮上している。政府は、早ければ秋の臨時国会にも関連法案を提出するという。

その法整備に至る間の緊急措置として、3海賊版サイト「漫画村」「Anitube」「MioMio」および類似サイトに対し、「ブロッキングを認める」方針を打ち出した。この3サイトは、削除や検挙など従来の対策では、著作権などの権利保護ができない以上、政府は刑法37条の「緊急避難」を適用すれば、憲法違反にはならないと判断している。

政府が特定内容の情報通信を根拠なく制限できること自体が大問題だ。憲法第21条2項には「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とあり、電気通信事業法でも事業者に対して、上記2つの厳守を義務づけている。
政府が憲法違反になりかねないブロッキングを、民間のプロバイダーに直接要請する措置は、きわめて深刻な問題をはらんでいる。7年前から始まった児童ポルノサイトのブロッキングは、重大な人格権侵害や名誉棄損などを基本に、民間業者団体の自主的な判断で行っている。
しかし、今回の政府主導による「海賊版サイト」のブロッキングは、経済的利益の侵害を優先するあまり、司法面からの検討も仰がず、関係する現場の意見や議論を抜きにした拙速な措置だ。

ひいては政府にとって都合の悪い情報サイトは、閣議決定のみで自由に遮断できる道を拓く。それこそ中国やエジプトのようになりかねない。民主主義の危機だ。(2018/4/15)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする