2018年04月20日

〈沖縄リポート〉名護新市長、答弁を職員にまる投げ=浦島悦子

 2月8日に就任した名護市の渡具知武豊新市長は早速13日に上京し、公約実現のために「財政面をはじめ政府からのご支援を賜るよう特別のご高配」をお願いする「要請書」を菅義偉官房長官に手渡した。要請は、学校給食費の無料化から下水道整備に至るまで十数項目にわたる。自助努力で築き上げてきた稲嶺市政から180度の方向転換だが、その極めつけが「国から優秀な人材を複数名確保(総務省、経済産業省、国土交通省等)」の要請だ。

 3月5日から定例の名護市3月議会が始まった。渡具知市長が冒頭の所信表明演説で何を語るのか、「官邸の名護出張所」にしないために「監視」しようと傍聴席を埋めた市民らは、それを聞いてあっけに取られた。基地問題については「県と国の裁判の行方を見守る」という以外、施政方針のほとんどが稲嶺進前市長のコピーだったからだ。選挙で公約した(そして、それで多くの票を集めた)はずの学校給食費や子ども医療費、保育料の無料化については一言も触れていない。
 
 12日から始まった一般質問では、稲嶺市政を支えてきた野党議員たちの鋭い質問に市長は答えきれず、丸投げされた各部長らが四苦八苦する姿が目立った。
 
 3月13日、沖縄県が政府による辺野古・大浦湾の岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟で、那覇地裁は実質審理に入らず県の訴えを却下した。「三権一体」と言われる現状では予想内の判決だが、「行方を見守る」としていた渡具知市長がいつ「容認」を打ち出すのか、政府は待っているのだろう。しかし彼自身、議会答弁では「(市長選の結果は)基地を容認したものではない」と言わざるをえなかった。

 辺野古の現場では1日に300台以上のダンプや生コン車がゲートに入り、加えて海上輸送による石材搬入も加速している。政府は工程を無視して浅場の護岸工事を先行させ、いちばん埋め立てやすい工区を5月中に囲い込み、6月には埋立土砂を投入すると発表した。
 土砂投入すれば県民はあきらめるとの目論見だろう。その前に翁長知事が埋立承認撤回に踏み切ってほしい。私たちはそれを全力で支える。――それが、辺野古の現場で頑張っている県民の切実な声だ。

JCJ月刊機関紙月刊「ジャーナリスト」2018年3月25日号
posted by JCJ at 20:12 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする