2018年08月04日

《編集長EYE》 捜査中止 小金井署「疑惑の事件」=橋詰雅博

 安倍改憲に反対する署名活動をしていた東京・小金井の市民3人が「住居侵入罪」の口実で小金井警察署に連行された3月末の事件(本紙5月25日号で既報)が解決した。

 5月30日に小金井署は3人の市民の弁護人に対し、電話で「これ以上の捜査は行わない。捜査を終結し、検察庁への書類送検もやらない。また刑事訴訟法上の微罪処分(軽微な犯罪で公訴提起を必要としない事件を警察段階で終結させる)でもない」と言ってきた。警察は捜査を断念・中止したのだ。市民3人の連行は不当だったことを警察自らが認めたのである。

 7月5日に市内で「不当連行事件 勝利報告」集会が行われた。

 改憲反対の署名活動を委縮させる狙いだった警察は、強引な捜査を行った。集会で弁護人の長尾宜行弁護士は、この事件の特異性をこう説明した。

 「トラブルは何も発生していないのに3人は強制連行された。権限の濫用を戒めた警察法2条2項に違反している。任意同行しか求められない状況下での強制連行は、刑事手続き上、重大な違法行為だ。事情聴取された3人とも、所属団体や署名活動の目的、いつ、どこで誰と相談したかなどを取調官から聞かれている。思想表現の自由、政治活動の自由を侵害するような取調です。

 警察権力の横暴さをむき出しにした戦慄すべき事件でした。その捜査を中止させた。民主主義が警察権力の牙をへし折った画期的な勝利です」

 小金井署を出る際、私服警察官から「もう一回、署に来てもらい調書に署名してもらう」と告げられた81歳の男性は 「精神的につらく、長い2カ月間でした。勝利によって民主主義が守られたと実感しています」と胸をなでおろした。

 3人が署名活動を行った出入り自由な問題のマンション(全18室)は警察が民間から建物を借りている「警察専用官舎」だった。共産党都議団の情報開示請求で分かった。警察によるつくられた「疑惑の事件」だった可能性が残る。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 14:06 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする