2018年09月02日

【メディアの動き】民放連:CM規制のルールづくりを 公平・公正な国民投票の実現へ 本間龍氏に聞く=河野慎二

 安倍晋三首相は12日、秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出する考えを表明した。改憲が発議されると国民投票運動でのテレビCMが大きな問題になる。資金力のある陣営が大量のCMを流し、投票の公平が保てなくなる恐れがある。この問題にどう取り組むべきか。博報堂出身の著述家で、この問題に詳しい本間龍氏に聞いた。

――衆議院の憲法審査会が先月、国民投票運動のテレビCM規制について民放連の意見を聞いた。民放連は慎重な姿勢を示したとされるが。
 民放連内でもの意見は、二分されているようだ。何らかの自主規制策を打ち出すべきだとの意見と、「CM規制はとんでもない。自分たちは注文を受けて流していればいい」との意見に割れている。

民放連と話し合い

――民放連は自主規制ルールを作れるのか。
 民放連が自主規制案をつくり、国会がそれを追認するのが、一番手っ取り早い。民放連への働きかけを強めようと、超党派の議員連盟が今月末に発足する。座長は自民党の船田元(はじめ)衆院議員が就任する予定だ。議連の最初の仕事は民放連との懇談。その際、議連としての案を持って行く。CMの回数などを決めているイギリス方式がいい国民投票法の改正については、議連としても提出する方向で考える。民放連を動かすことと法改正の両輪で動いて行く。

――民放連は、CM規制は「表現の自由」制約につながると懸念するが。
 テレビCMの規制は放映の回数だけで、内容は規制しない。イギリスでは国民投票に使える予算を国が賛成と反対の両派に渡している。その上限は決まっている。テレビCM規制と表現の自由は両立する。
 ただ、国民投票法成立11年後の今日、ネットの力が急増している。ネットは規制の対象外。仮にポータルサイトは規制しても、個人の発信規制は「表現の自由」にリンクしてくる。

護憲勢力は不利に

――米国では、トランプ勝利の一因に、ビッグデータの活用が上げられているが。
 日本では、電通がビッグデータを社内に保有している。「ビッグデータ解析プラットフォーム」という機材、組織を持っているから、当然国民投票に使うだろう。投票の公平性は失われ、護憲派は不利な戦いを強いられる。
 ネットの問題については、早急に研究会などを作って対応する必要がある。

安倍常人ではない

――現状のまま、国民投票を実施すると、大変な事態になる。
 それは目に見えている。世界一の広告代理店、電通がバックについて、準備版万端怠りなくやる。護憲派は何もやっていないから、赤子の手をひねるようなものだ。
 じゃあ、安倍首相が3選されて、年内か年始に国民投票までに持って行けるか、現実的にはかなり難しいと思う。憲法審査会は、与野党合意の上で進めるというのが大前提で、国民投票を実施するまでに、国会の手順としては15回ぐらいの採決が必要とされる。
 否決されたら、各会派が持ち帰り、やり直す。そう見てくると、年内、年初の発議、来年の天皇退位までの国民投票は不可能に近い。
 ただ、安倍首相は常人では計り知れないところがある。国民投票が自己目的化している面がある。普通の考えの持ち主なら、国民投票は出来ませんが、安倍首相は違う。

――国民投票が否決されたら、内閣総辞職ものですね。
 そうです。大差で否決されたら、内閣はブッ飛んで、政権交代が起こるかもしれない。政権を失うかもしれないという覚悟で突っ込んでくるから、そこをしっかり見据えた対応が必要だ。

世論を盛り上げる

――ただ、国民がどう考えるかです。強行突破的なやり方は国民の批判を招くのでは。
 大量の改憲CMをバンバン流しても、強面の態度が国民にどう映るか。強権を発動し、偉そうなことを言うことに、民意は極めて敏感だから、いくら電通がついていても、浮動票が改憲派に大量に流れることはないのではないか。
 超党派議連発足を契機に、議連と民放連との話し合いなどをはじめ、国民投票の問題点の報道をメディアに働きかけ、世論を盛り上げて行きたい。

聞き手 河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年8月25日号
posted by JCJ at 11:51 | 放送 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする