去る9月3、4の両日、北京の人民大会堂に53か国のアフリカ首脳を集めて第7回「中国アフリカ協力フォーラム」が開かれた。習近平中国国家主席は開会スピーチで、中国がアフリカ向けに600憶ドル(6兆6千億円)の資金援助を行うと発表して喝さいを浴びた。
このフォーラムは江沢民時代の2000年に発足、以後3年ごとに北京とアフリカで交互に開かれ、猛スピードで経済大国化した中国のアフリカ進出に大きな役割を果たしてきた。今回は台湾と国交のある旧スワジランドを除く、アフリカ全53か国の首脳が出席した。
言うまでもなく、国連加盟国193カ国中54か国を占めるアフリカは、地域としては最大グループであり、「アフリカの年」と言われた1960年にブラック・アフリカ諸国が独立して一大グループとなった。
1960年と言えば日本では安保闘争の年。日米安保に反対する日本の労学市民による巨大な安保反対闘争で日米新安保改約は批准されたものの岸首内閣は退陣。後継の池田内閣の高度経済成長戦略に国民は騙され、日本の対米従属関係は今も続いている。
そうした1960年、アフリカでは旧宗主国のくびきを外れた国々が様々な困難の中で新しい国造りに励む一方、国連など国際社会の場で反植民地主義の新興グループとして発言力を高めた。米国などもアフリカ勢を無視することはできなくなった。
米ソ冷戦時代が続く中で、アフリカ諸国は米ソ両陣営から強い働きかけを受けながら、基本的に非同盟路線を貫いた。結果として、そのことが冷戦後21世紀の世界でアフリカ勢がひときわ注目される存在となるに至った要因であろう。
毛沢東も習近平も「中国は覇権を求めない」と宣言している。しかしアメリカに次ぐ世界第2の経済大国になった中国は、アジアからアフリカ・ヨーロッパに「一帯一路」の通商路を開くことを宣言。そのために南アジアから中東・アフリカに膨大な投資を進めている。
第2次大戦後世界の覇権を握ってきたアメリカだが、実はその覇権を放棄したいトランプ大統領と事実上アメリカの覇権に挑戦しつつある習近平主席の草刈り場になっているのが、今日のアフリカである。