2018年09月30日

【今週の風考計】9.30─廃刊に追い込んだ2人の男の経歴と感覚

「新潮45」の実質的な廃刊には、大きな疑問がはらんでいる。まずは問題の引き金となった特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という企画の成立過程である。

提案は誰がしたのか、6人の編集部員はどんな議論をし、執筆者7人の選定をどう決めたのか、また編集長は企画を決定した後、執筆者の依頼や担当をどう編集者に振り分けたのか。
さらに担当重役には報告したのか、原稿を入手し一読したのちの対応はどうだったのか、執筆者への問いかけや原稿の手直しはお願いしなかったのか、校閲担当者はどう感じたのか、などなど常識上から見ても、湧く疑問や解明すべきテーマは数多い。

執筆者の一人、小川栄太郎氏の経歴や著作は、つとに知られている。右派だからと言って、ここに文字にするのもはばかれる内容の原稿を一読して、これはダメとは思わなかったのか。
「LGBTも私のような伝統保守主義者から言わせれば充分ふざけた概念だからである。満員電車に乗った時に女の匂いを嗅いだら手が自動的に動いてしまう、そういう痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深かろう。再犯を重ねるのはそれが制御不可能な脳由来の症状だという事を意味する。彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか」─痴漢という犯罪を容認しているのも同じだ。

この御仁、安倍首相<親衛隊>の一人。自著『徹底検証「森友・加計事件」―朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社刊)は、昨年末、自民党本部が約750万円使って5000部ほど“爆買い”してもらい、自民党所属の国会議員へ1冊、自民党・各都道府県連支部へ100冊ずつ送本された。挨拶状には《ご一読いただき、『森友・加計問題』が安倍総理と無関係であるという真相の普及、安倍総理への疑惑払拭にご尽力賜りたい》とある。
これだけではない。2012年発売の自著『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)は、安倍首相の資金管理団体・晋和会によって、総額700万円以上も購入されていた。

さて最後は学研「ムー」の編集部を経て、「新潮45」編集長となった、若杉良作氏の見解だ。新潮社の公式サイトに掲載された一文を、再掲載しておこう。
<編集長から LGBTを利用する野党
 今月号は、特集「『野党』百害」と特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」を柱に据えた。前者は主要野党議員の採点表みたいなものだが、当然ながら後者と絡み合ってくる。間もなく秋の臨時国会が始まる。「反安倍」なら道理の通らぬことでも持ち出す野党は、この騒動を奇貨として、杉田氏本人の追及や「LGBT差別解消法案」提出に意気込んでいる。
 杉田論文がいかに誤読され、どのように騒動が作られていったかは、この特別企画の七本の論考でよくわかる。うち二本はLGBT当事者からの寄稿だ。ひとりは元民主党参議院議員でゲイであることをカミングアウトした松浦大悟氏。その記事には、バッシングが一部の当事者とそれを利用しようとする者たちが煽ったものであることや、当事者が切実に欲しているものは何か、などが冷静に綴られている。そして野党のLGBT法案には重大な問題があるとも指摘するのだ。野党は決して当事者を代表しているわけではない。>(「波」2018年10月号より)(2018/9/30)

posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする