2018年10月12日

【沖縄リポート】 翁長氏 死してなお県民動かす=浦島悦子

 沖縄県知事選(9月30日)の前哨戦とも言われた名護市議選(9月9日投開票)は、熾烈な選挙戦を経て与野党同数(定数26)の結果となった。14人の立候補者全員の当選をめざした野党(稲嶺前市政を支えてきた議員及びその後継者)は1議席減らしたものの、2月の市長選敗北の逆風の中でよく健闘したと思う(野党側当選者のうち1人は、告示直前に「中立」に立場を変えるなど複雑な様相もあるが)。  
 
 とりわけ私の住む東海岸では、辺野古新基地反対運動の中から生まれた現職議員(3期)に対し、渡具知現市長派の新人が立候補(地域住民は「刺客」と呼んだ)。地域の企業(いずれも零細だが、過疎の地域では大きな存在だ)を総動員して選挙活動を展開した。当新人は、名護市長選の直前に官邸主導で作られた「住民団体」の代表だ。
 これまでと違う選挙の様相に危機感を持った住民・市民の奮闘で現職議員は当選し、新人は次点で落選。ほっと胸をなでおろした。辺野古新基地建設の地元である名護市東海岸のうち久辺3区(久志・豊原・辺野古)をすでに抑え込んだ安倍政権が、残る二見以北10区を抑え込み、「地元はみな基地に賛成している」というお墨付きを得ようとした、その目論見を跳ね返した意義は大きい。

 息つく間もなく9月13日には県知事選が告示された。混迷していた「オール沖縄」の知事候補者選定は、翁長知事の残した遺言により急転直下、玉城デニー氏に決定。死してなお県民を動かす翁長氏の力を示した。
 翁長知事の遺志に従い沖縄県は8月31日、辺野古埋め立て承認を撤回し、海・陸ともに基地建設工事は止まっている。告示日の出発式をルーツ(母親の出身地)である伊江島で行った玉城デニー候補は、名護市街地で第一声を上げた後、辺野古の座り込みゲート前で多くの市民・県民の歓呼の声に迎えられ、翁長知事の遺志を継いで辺野古新基地建設を断固阻止する決意を述べた。

 沖縄女性と米軍人の間に生まれ、翁長知事が「戦後沖縄の歴史を背負った政治家」と称した玉城氏と、日本政府の意を受けた自公・維新が推す佐喜眞淳候補との厳しい超短期決戦が始まった。「マキテーナイビランドー」という翁長氏の声が聞こえてくるようだ。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
posted by JCJ at 14:50 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする