2018年10月14日

【若い目が見た沖縄】 派遣第1号・専修大生 高江で初めて知った抗議理由=天野公太

 JCJでは今年度から「若い目が見た沖縄」をテーマに各支部などから推薦された若者を沖縄に派遣する企画を始めました。派遣に当たってはJCJが経費の一部を負担します。派遣第1号が専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科3年生の天野公太さん(20歳)。神奈川支部から選出されました。天野さんに寄稿してもらいました。

 沖縄へ行くと話すと、「プロ市民とか、いるんだろ」とバイトの先輩が言った。政府と沖縄が対立して以後、かなりの若者の沖縄のイメージがそんな風に変化してきたように感じる。沖縄をたたく人々がかなり存在する。他方に基地撤去を願い続ける沖縄の人々がいる。とにかく自分で、現状を知りたいと強く思った。

 8月8日に訪れた時、高江のヘリパッドはすでに造成され、使われていた。それなのに抗議活動を続けている理由を、住民の方たちに聞いた。まず、米軍のヘリコプターやオスプレイの連日の騒音を挙げた。ブルドーザーが通る時のような90デシベルの場合もあるという。また、昨年10月には、住民の牧草地に米軍ヘリが不時着・炎上している。いつ落ちてくるのかわからない恐怖。私にも分かる気がした。
 しかしそれだけではなかった。ヘリパッドを含む高江の一帯は、絶滅危惧TA類のノグチゲラなど、貴重な動物が生息している森だと私は初めて知った。ノグチゲラの巣の上で米軍機が毎日爆音を立てていることを、どれだけの人が知っているだろう。ヘリパッドの近くで抗議活動をしていた那覇市在住だと言う女性は、「ただ高江の貴重な自然を守りたい」と話した。高江に住む男性は「なぜ抗議をしているのか。理由を知ってもらいたい」と肩を震わせて語った。
 沖縄を批判する人は、沖縄の人の話を聞かずに批判してはいないかと、考えさせられた。 

 名護市辺野古。8月12日、キャンプシュワブ前では、新基地建設の土砂投入を止めようと、多くの人が集まって声を上げていた。数十人。新聞やテレビで見るよりは少ないと感じた。近づくと高齢の方々が目立ち、若者の姿はほとんどない。いわゆる「プロ市民」と呼ばれるような団体は見受けられなかった。抗議はゲート前で行われていた。座り込んで動かない人もいた。
 海岸へ回ってみる。目の前に広がる辺野古の海は、青々として、息をのむほどに美しい。しかしその海の一角は、すでにオレンジ色のブイで囲まれてしまっていた。

 8月15日、再び高江を訪れた時、住民の男性に、抗議活動に若者が少ない理由を聞いてみた。「表現の仕方が違うのでは」というのが、答えだった。沖縄の若者は基地問題に関心がないのではなく、SNSなど、違うやり方で抗議をしようと考えているのだろうか。

 那覇市・奥武山陸上競技場で8月11日に開かれた、辺野古土砂投入に反対する県民大会にも行った。台風が接近して雨が降りしきる中、7万人(主催者発表)が集まった。その3日前に急逝した翁長雄志知事の追悼ということもあったのかもしれないが、一つの場所にこれほど人が集まることに私は驚かされた。他の県でこんなに住民が集まることはあるだろうか。沖縄の人々の基地問題に対する意識の強さを感じる。ここでは、集まっている中にたくさんの若者がいた。

 本土と沖縄に意識の差は確かにある。しかし、私はまだ沖縄に寄り添うことができると思う。それは、高江や辺野古で会った人たちが、私のような若者に対しても、真剣に「本土に現状を伝えてほしい」と語ったからだ。
 バイトの先輩や友人にも「一度、沖縄に行ってほしい」と言いたい思いを、強く感じている。

天野公太(専修大3年生)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
posted by JCJ at 13:08 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする