2018年11月13日

《月間マスコミ評・新聞》沖縄の問いに社説はどう答えるか=六光路 弦

 沖縄県知事選は9月30日の投開票の結果、急逝した翁長雄志前知事の後を継いで、名護市辺野古への新基地建設阻止を掲げた玉城デニー氏が、安倍晋三政権が支援した佐喜真淳氏に8万票余の差をつけ圧勝した。
 
 仮に日米同盟を是とするなら、米軍基地の恩恵を受けるのは日本全体なのに、なぜ沖縄に過剰な基地負担を押し付けるのか―。沖縄の民意が突き付けた問いを、本土に住む日本人が正面から受け止める番だろう。
 
 沖縄の基地集中を巡っては、従来から地方紙の多くは安倍政権の強圧的な姿勢に批判的だった。知事選後は、さらに踏み込んで、日本本土に住む自分たちの問題として受け止めようとする地方紙の社説がいくつも目に止まった。
 
 一例を挙げれば西日本新聞は「『沖縄が反対している』と遠くから眺めるのではなく『じゃあ私たちはどうする』と踏み込み考えることが、沖縄と本土の溝を埋め、基地問題解決を促す力となるはずだ」と強調。中国新聞は「本土の私たちが傍観者にならず、沖縄とともに声を上げる姿勢が、政府のかたくなな態度を変える潮流になるはずだ」と訴えた。
 
 一方、読売新聞、産経新聞、北國新聞は、辺野古新基地建設は進めるべきだと主張した。驚いたのは産経だ。玉城氏に対し「移設を妨げる県の従来方針を改め、国との関係を正常化し、基地負担の軽減を進めていく現実的な立場をとってもらいたい」と、直截的な表現で事実上の公約撤回を要求した。読売も表現は遠まわしながら同様のトーン。それぞれ選挙翌日の社説だ。
選挙を通じて示された民意を尊重し、その代表として選ばれた首長に敬意を払うのは当然のことだ。産経や読売の主張は民主主義の否定にも等しい。このような主張を続けるのなら「新聞」を名乗ってはいけない。
 
 意外なのは、東日本大震災の被災地の地元紙、河北新報だ。翁長前知事の国との法廷闘争を時間の浪費と結論づけ「辺野古移設に反対なら反対として、実現可能な具体的な対案をある程度は提示するのは知事に求められた責任ではなかったか」と書いた。沖縄の基地問題も被災地の復興も、地域の自己決定権が問われているはず。被災地の読者の支持を得られただろうか。 

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号   
posted by JCJ at 16:30 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする