2018年11月27日

【編集長EYE】 疑惑の土地に誕生「ハルミフラッグ」=橋詰雅博

 11月1日付日本経済新聞の見開き全面広告(22と23両ページ、全国紙では日経だけに掲載)には目を奪われた。<HARUMI FLAG>(街の名称)がデカデカと書かれていた。その中身は2020年東京オリ・パラ選手村として活用後に建てる大規模マンションを販売という広告だった。前日に売り主の三井不動産レジデンスなど11社が発売すると発表しており、同日付日経の東京面で来年5月発売などと報じている。

 目を奪われた理由はこの都有地(約13・4f)を巡り都民33人が

11社に超格安で売却したのは違法であり、小池百合子知事らに損賠賠償1200億円を請求すべきだと都に求めた訴訟を東京地裁に提起しているからだ(本紙17年10月25号で既報)。銀座から約2・5`の超一等地の売却額は129億6000万円だった。日本不動産研究所の調査報告書に基づき選手村という要因を考慮に入れて弾き出した金額と、都は言い張る。周辺地価は1平方b当たり約100万円と算出されていて、問題の土地は総額1300億円というのが一般的な相場だ。だから「投げ売り」と原告側は被告の都を追及する。

 肝心の日本不動産研究所の調査報告書の多くの部分は黒塗りで開示されており、一体、適正な価格はどのくらいなのかが裁判の大きな争点になっている。

 10月26日の第4回口頭弁論では、原告代理人の大住広太弁護士は原告の一人である不動産鑑定士が行った評価額を陳述した。土地は5つの街区に分かれていて、街区によって1平方b当たり100万から134万円で、その総額は1611億1800万円と述べた。大住弁護士は「92%も減額し、都民の財産が1470億円失う」と指摘し、都は大幅減額の根拠を示すべきだと迫った。

 被告代理人は、原告でもある不動産鑑定士の評価額は中立性を欠き、身勝手な主張と反論した。都側は形勢不利だ。次回弁論は来年2月19日。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年11月25日号
posted by JCJ at 14:36 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする