2018年12月01日

【おすすめ本】尾林芳匡・渡辺卓也編著『水道の民営化・広域化を考える いのちの水をどう守るか』─あらためて水の大切さを考えよう! 問われる水道法改正の狙い=栩木 誠

 安倍政権が「働き方改革関連法案」や「カジノ法案」など、W悪法“を成立させた前期国会で、「重要法案」と位置付けながらも、継続審議になった法案がある。「水道法改正案」である。

 「押し寄せる老朽化」「水道クライシス」「水道料金値上げ続々。背景に老朽化、人口減」…近年、水道を巡る見出しが、メディアで踊る。
「1990年代は水道民営化の10年」ともいわれるように、世界各地で、グローバル水道企業による民営化が進められた。しかし、欧州や中南米など世界各地で、水質悪化・料金高騰などの問題が表面化し、失敗が明白になった。今や「再公営化」の流れが強まっているのである。
 しかし、日本では世界的な教訓を学ぶことなく、未だ民営化推進の動きが続く。「水道法改正案」でも、地方公共団体が水道事業者ではあるものの、運営を民間事業者に任せる「官民連携」と、事業の「広域化」が2つの柱になっている。すなわち「庇を貸して母屋を取られる」ように、実質、民営化への道につながりかねないのである。

 本書は、「市民が止めた水道民営化」や「水源を守る運動」など、水道の民営化・広域化を巡る問題で、着実に成果をあげる、全国各地の住民などの実践例を追い、成果の分析をしている。
 そうした積み重ねの上に論点を明確に整理し、「民営化・広域化を前提としない、各地の水道事業への国の財政支援の拡大強化」の必要性を提言する。「21世紀は水の世紀」といわれる。「いのちの水」を守るためにも、まず改正案の成立を阻止し、国民的な議論を深めることが緊要になっている。
(自治体研究社1700円)
「水道の民営化…」.png
posted by JCJ at 10:44 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする