10月30日、韓国大法院(最高裁)は元徴用工への賠償を新日鉄住金に命じる判決を下した。同様の訴訟は、約80社を相手に14件が係争中で、賠償命令はさらに続くものと思われる。
この問題に関して、北朝鮮でも最近、立て続けに論評を出している。例えば、朝鮮労働党機関紙・労働新聞11日付は、「歴史に刻まれた特大型の過去の罪は決して覆い隠すことはできず、消し去ることもできない」として、「日本帝国主義への恨みと憤りを抱えているわが民族は、日本の過去の罪に対する謝罪と補償を千百倍にして受け取るだろう」と指摘した。
国営・朝鮮中央通信は13日の論評で、「日本は当然、朝鮮人民に与えた人的、精神的、物質的被害に対して徹底的に謝罪し、国家的賠償をしなければならない」「日本にとって過去の清算は、絶対に避けられないし、避けてもならない問題」「代を継いで罪の償いを必ずさせるのが朝鮮民族の意志だ」などと主張している。
目を引くのは、「わが民族」「朝鮮民族」という言葉だ。南北が力を合わせて日本の過去の清算に取り組もうと呼びかけているようにも見える。
今年、南北関係は劇的に改善した。北朝鮮は、金正恩朝鮮労働党委員長が元旦の新年の辞で示唆したとおり、平昌冬季オリンピック・パラリンピックに参加した。それが皮切りとなって南北首脳会談が実現し、4月、5月、9月とすでに3回開催されている。もはや定例化したと言ってもよい。首脳会談は年内にもう一度、それもソウルで開催される予定だ。北朝鮮の最高指導者がソウルを訪れるとすれば、歴史的なことだ。
日本は北朝鮮と過去の清算を果たしていない。今年、南北、中朝、米朝関係は進展があったが、日朝だけは進展の動きがみられない。北朝鮮メディアや関係団体は、過去の清算の重要性を強調し続ける。南北が共闘して、日本から謝罪と補償を勝ち取るべきだと呼びかけている。
文聖姫(ジャーナリスト、博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年11月25日号