2018年12月08日

【沖縄リポート】 協議の一方で 工事を進める安倍政権の茶番=浦島悦子

 10月30日、石井啓一国交大臣は、沖縄防衛局が申し立てていた県の辺野古埋め立て承認撤回の執行停止を決定した。玉城デニー知事が「自作自演」と批判し、国民の権利救済のための法律である行政不服審査法の国家権力による悪用・濫用だと全国の行政法学者から抗議が渦巻く中での暴挙だ。

 11月3日にキャンプ・シュワブゲート前で行われた県民抗議集会には1000人余りが参加し、稲嶺進・オール沖縄会議共同代表は「恥知らずの政府を許すわけにいかない。しなやかに、したたかにたたかい抜こう」と檄を飛ばし、10月14日の豊見城市長選で初当選し翌週に就任を控えた山川仁氏は、「政府は県民を分断しようと躍起になっているが、自民党も含めてそれを望む県民はいない」と語った。

 政府は11月1日から工事再開を宣言。「撤回」によって撤去されていた大浦湾の立ち入り禁止区域を示すフロートの再設置作業を開始したものの、実際の工事には行き詰まっているのが実態だ。9月末に襲来した大型台風によって、埋め立て土砂の搬出港である本部町塩川地区の岸壁が破損し、使用できないことが判明。本部町は防衛局の使用申請を受理しなかった。修復には数カ月を要する見込み。  

10月県議会で、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票条例が可決され、半年以内(4月末まで)に実施されることになった。1日も早く埋め立て土砂を投入し、県民投票前に「後戻りできない」状況を作りたい政府が、今後どんな手を使ってくるのか。土砂搬送を陸路に変えるためには県への変更申請・許可が必要となるため当面は、県の新たな許可を必要としない工事で外堀を埋めていくと思われる。15日には、3カ月半ぶりにゲートからの石材・資材搬入が行われ、機動隊による「ごぼう抜き」も再開された。「対話」による解決をめざすデニー知事の要請で「協議」には応じつつ、一方で工事を進めるという茶番を県民は冷やかに眺めている。

 デニー知事は11日、沖縄の民意を携えて中間選挙直後の「父の国」米国へと旅立った。ミニ・トランプが跋扈する米国にとっても、沖縄の民主主義・多様性、寛容の政治は希望となりうると思う。分断を越え、平和へ向けた新たな回路を期待したい。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年11月25日号
posted by JCJ at 15:19 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする