2018年12月25日

【国内政治情勢】 辺野古埋め立ての県民投票 心配な協力拒否と投票率 玉城知事の具体策がカギ=福元大輔

 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設に伴い、政府が約50`離れた同県名護市辺野古で進める埋め立て工事の賛否を問う県民投票が、来年2月24日に投開票される。地方自治法に基づく住民発議の住民投票が都道府県単位で実施されるのは、1996年沖縄での日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小の賛否を問う県民投票に次いで2例目で、沖縄の置かれた特殊事情が改めて浮かび上がる。

 辺野古埋め立て事業は2014年7月に着手、17年4月には埋め立て土砂投入に向け、沿岸部分を囲む護岸の建設が始まった。18年12月にはいよいよ土砂が投入されている。

若者がけん引役に

 この段階で若者を中心に18年5月からの2カ月間、手探りの活動で県民投票条例の直接請求に必要な数(有権者の50分の1)の4倍、9万2848筆の署名を集めた。1996年の日米合意以降、沖縄を分断してきた普天間返還問題、辺野古移設問題に決着をつけたい若者の熱意と県民の思いの強さを物語る。

 18年9月の知事選で辺野古反対を明言した玉城デニー氏が、政府・与党の全面支援を受けながら辺野古の賛否を示さなかった佐喜真淳氏に8万174票の大差で、過去13回の知事選で最多となる39万6632票を獲得した。それでも民意を顧みず、埋め立て工事を強行する政府に対し、県民投票はワンイシューでより明確な民意を突きつける意味合いが濃い。

 県議会では辺野古移設を推進する自民の県議らが「2択では県民感情をすくいきれない」と主張。「やむを得ない」「どちらでもない」を加えた4択を提案した。一方、「県の政策を決定づけるために、賛否の2択が望ましい」といった思いをくみ取り、玉城知事を支える県政与党の多数で条例案は可決した。

 条例が施行されても、投開票が円滑に実施されるか、分からない。それが都道府県単位の住民投票の難しさだ。投開票の事務は市町村が処理するが、県内11市のうち、保守系の市長や市議が県民投票に難色を示している。市議会で必要な予算案を否決、市長が事務を拒否する可能性が残っているのだ。県民投票に反対する意見書を複数の市議会が可決している。

 投開票の事務を拒否する市町村が出て、一部で投票できない事態になれば、県民投票の意義が薄れるほか、そういった動きがある中で全市町村で投票が実施されても、投票率の低下は免れない。多くの投票者が反対の民意を示したとしても投票率が低ければ、結果を軽視される懸念がある。

 政府が結果を尊重するきざしはこれっぽっちもなく、機運を盛り上げるのは難しい。

機運の醸成が必要

約480f、東京ドーム102個分の普天間飛行場だが、沖縄全体の米軍基地の2・5%にすぎない。それさえ、県内に移設しなければ返還できないのか、辺野古に新基地ができれば米軍の撤退は遠のき沖縄が未来永劫「基地の島」になるという指摘もある。極めて県全体の問題であり、県民投票で意思を表示するのはまっとうな手段だ。

 条例では「知事は県民投票の結果を尊重する」と定めている。では、尊重するとはどういうことか。知事が投開票の前に具体策を示すことで、賛成側を引き出し、機運を醸成する必要があるといった意見も出ている。

福元大輔(沖縄タイムス)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年12月25日号
posted by JCJ at 12:17 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする