2018年12月31日

【JCJ賞受賞者】 清水潔講演 独自の取材進め犯人特定 DNA型再鑑定求め逆転判決=編集部

 JCJは12月9日、東京・千代田区の専修大学で12月集会を開催した。「調査報道でえぐる社会の実相―桶川ストーカー殺人事件から冤罪、歴史検証まで」と題し、日本テレビ報道局特別解説委員・清水潔氏が講演した。

発表報道は伝聞だ
 清水氏はまず調査報道の対極にあるものとして発表報道をあげ、警察や企業の発表を伝えるのは伝聞であり、記者は自分が現場に行っていない。発表側が都合のいい情報を伝えたり加工したりすることがあり得ると指摘した。
 清水氏が写真週刊誌記者時代に追及したのは桶川で女子大生が刺殺された事件だ。興味本位の報道が過熱する中、清水さんは被害者の友人たちを取材。警察より早くストーカー犯たちを突き止めた。事件前に被害者がストーカー被害を警察に告訴していたが、警察は告訴状を改ざんしていたことが後日、判明した。

警察の調書を疑う
 DNA型鑑定についても当局発表は常に正しいとはいえない。北関東で起きた連続幼女殺人では、1990年に足利で起きた事件で菅家利和さんが逮捕され、自供とDNA型鑑定の結果、有罪判決を受け服役した。菅家さんはしかし、刑務所内で再審を訴えた。清水氏と日本テレビの取材班は、事件現場で再現実験をして菅家さんの自供の矛盾を指摘、最新の技術によるDNA型鑑定を求める報道を続けた。
 2009年に再鑑定が行われ、検察側、弁護側それぞれが依頼した鑑定人によって、遺留品に付着したDNAと菅家さんのDNAが一致しないと結論が下され、菅家さんは釈放された。
 92年に福岡県で発生し、久間三千年容疑者の死刑が確定・執行された飯塚事件では、容疑者の車の目撃証言の信ぴょう性を検証するため、番組で実験を行った。事前に容疑者の車を見た後で、警察官は調書を作成しており、警察による誘導が疑われる。

徹底的に裏取りを
 後半は南京事件を検証したNNNドキュメント制作について語った。
 清水氏は@戦後になってからの論争に巻き込まれないA被害者の証言より加害者の告白B可能な限り裏取りをするという方針で臨んだという。
 番組は長江河畔での中国人捕虜殺害に絞り、日本軍兵士の日記をもとに制作された。
 事件取材と同様の手法で歴史検証に取り組んだ清水さんだが、「なぜ日本軍が中国にいたのか」という大きな歴史の流れを学ばなければならないと強調した。(編集部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年12月25日号
posted by JCJ at 10:50 | JCJ賞情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする