2019年01月26日

【リアル北朝鮮】 「新年の辞」で経済単語38回も 斬新な発表に驚き

 1月1日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、恒例の「新年の辞」を発表した。YouTubeで発表の動画を見ながら、驚いた。こんな感じだ。

 新年午前12時の時報と同時に、朝鮮労働党中央庁舎が映し出される。カメラが建物の内部に入ると、深々とお辞儀をする男性。執事と言われる金昌善氏だ。間もなく金委員長が姿を現し、歩き始める。その後ろを、妹の金与正氏、側近の趙甬元氏、先ほどの金昌善氏が付き従う。

 場面は切り替わり、祖父の金日成氏、父の金正日氏の大きな肖像画などが背後に飾られた執務室と思しき部屋で、金委員長はソファに座り、「新年の辞」を発表した。

 斬新な発表の仕方もさることながら、その内容も例年とは異なっていた。経済問題が大半を占めたのだ。昨年の21回に比べ、「経済」という単語は38回も使われた。逆に防衛分野の言及はほとんどなかった。金委員長自ら、経済建設に全力を尽くす決意を披露したわけだ。

 昨年4月に開かれた朝鮮労働党中央委員会第7期第3回全体会議で、金委員長は核開発と経済建設を同時に推し進める並進路線の勝利を宣言し、経済建設に集中すると語った。自らの核開発の目標は達成できたから、今後は経済建設中心路線でいくというものだった。実際、北朝鮮は17年9月を最後に、核実験を封印した。豊渓里の核実験場も爆破した。

 16年5月の朝鮮労働党第7回大会で金委員長は「国家経済発展5カ年戦略」を提示したが、同戦略は来年が最終年だ。金委員長としては、どうしたって経済問題を解決させなければならない。

 金委員長は7日から10日まで、中国を訪問した。経済技術開発区を視察したという話も伝わってきている。

 新年にあたり自立経済を強調した金委員長だが、改革・開放路線を進めるしか解決の道がないことは十分に分かっているはずだ。中国の経験から学ぼうとしているかもしれない。

文聖姫(ジャーナリスト、博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年1月25日号
posted by JCJ at 09:56 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする