2019年02月15日

【国際情勢】 「辺野古を守れ」署名21万筆 呼びかけた日系4世 ワシントンで訴え 民主主義踏みにじる=津山恵子・NY在住

ハワイ在住の日系4世の音楽家、ロバート梶原さん(32)がホワイトハウスに向けて始めた、沖縄・辺野古への土砂投入停止を訴える請願署名が、21万に届こうとしている(米東部時間1月17日現在208,691)。

 梶原さんは昨年12月8日、米ホワイトハウスが設ける請願サイト「ウィ・ザ・ピープル(We The People)」を利用し、新基地の是非を問う今年2月24日の県民投票まで、工事停止を検討するように、トランプ米大統領に求める署名を集め始めた。サイトは、署名開始から30日以内に10万署名が集まればホワイトハウスで請願を検討、60日以内に回答が来る仕組み。このため、請願内容は、ホワイトハウス内で再検討され、「不適切な影響がある」と判断された場合を除き、署名者全員にホワイトハウスがeメールで回答を送るという。

沖縄中城は私の血

梶原氏は、母方が沖縄県中城(なかぐすく)村出身の日系4世。子供の頃から祖父母から沖縄の文化と歴史を教えられ、沖縄の血を自分のアイデンティティーの一つととらえている。辺野古にも何度も訪れ、ウチナーグチ(沖縄の方言)を話し、琉球舞踊も踊る。

「12月上旬の工事開始の日が近づくにつれて、不安も増す一方で、希望も失せていた。日米政府は、沖縄の人々と、玉城デニー知事の声を無視した。でも、工事反対のデモを毎日している人々のことを考えると何もしないわけには行かず、少しでも彼らのことを知ってもらえればと、ほとんどやけくそで始めた」と、署名運動を始めた理由を話す。

英語のサイトにいかに署名するか、SNSを使って、日本語で説明する人も表れ、世界中に拡散し、沖縄県民や世界に住む沖縄出身の日系人が署名。わずか10日で目標の10万を達成した。タレントのローラさんや、クィーンの伝説ギタリスト、ブライアン・メイさんが、ツイッターを使って署名を訴えた。

ネットで中継流す

これをきっかけに、署名開始から30日の1月7日には、梶原氏が首都ワシントンDCを訪れ、米市民や沖縄県人会のメンバーなど30人が集まって、集会を開いた。梶原さんはこう訴えた。

「辺野古新基地は、日本と沖縄だけでなく、米国とアジア太平洋地域にとってマイナス

基地には、米国民の税金が使われるだけでなく、アジアの緊張を高める」

「沖縄の民主主義を無視することは米国が世界に誇る民主主義を踏みにじることです」

 参加者らは「トランプ大統領、私たちに答えてください!請願署名は19万以上集まりました!沖縄・辺野古の新米軍基地建設にNO!」などという垂れ幕を掲げ、梶原さんは集会の様子をライブでインターネットに流した。

辺野古の問題を米国メディアが報じることはあまりないが、防衛省の辺野古への土砂投入は、AP通信の記事をワシントン・ポストなどが素早くサイトに掲載した。

請願は市民の権利

梶原さんは市民運動家として、「ウィ・ザ・ピープル」については、以前から知っていたという。サイトによると、表現や報道の自由を保証するアメリカ合衆国憲法修正第1条は、「議会は、表現の自由、あるいは報道の自由を制限することや、人々の平和的集会の権利、政府に苦情救済のために請願する権利を制限することはできない」とし、国民が政府に直接請願する権利についても「市民の基本的権利」だとしている。

 梶原さんは、ワシントンの集会の最後に「チバリヨ(がんばれ)」と沖縄県民を激励。「決してあきらめない、というのが沖縄の生き方。平和的に、民主的に、というのも、沖縄のやり方だ。辺野古の新基地建設反対を引き続き、訴えていく」と、記者らに話した。

 梶原さんは、その後も毎日、基地建設反対を訴えるYouTubeビデオをアップし、SNSでシェア。トランプ大統領と閣僚、上院議員などに、署名の進展を伝える書簡とeメールを100通以上送った。ホワイトハウスからは、受信の確認メールが来たという。

 辺野古の是非を問う県民投票の波は、世界に広がっている。

津山恵子(ニューヨーク在住・ジャーナリスト)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年1月25日号
posted by JCJ at 13:10 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする