2019年03月01日

【リアル北朝鮮】 米朝再会談を意識 「建軍節」例年とは違い静か=文聖姫

 2月8日は北朝鮮人民軍が創建された日だ。北朝鮮では「建軍節」と呼ぶ。実は、2017年までは4月25日が「建軍節」だった。この日は、金日成主席が朝鮮人民革命軍(抗日遊撃隊)を結成した日とされる。朝鮮人民軍は朝鮮人民革命軍の伝統を受け継いでいるから、朝鮮人民軍を結成した日が軍の創建日になるというのが、北朝鮮側の説明だった。
 しかし、歴史をさかのぼれば、当初は2月8日を「建軍節」としていた。それが前述のような理屈で4月25日に変わったのは1978年だった。そして、昨年、北朝鮮は従来の2月8日に「建軍節」を戻した。

 前置きが長くなったが、今年の「建軍節」は興味深かった。イベントを小規模化したのだ。昨年は建軍70周年だとして軍事パレードも行われた。だが今年は、慶祝公演とパーティーのみ。静かな建軍節だった。
 建軍節当日、金正恩朝鮮労働党委員長は人民武力省(防衛省)を訪問し、演説した。演説では、核やミサイルに関する言及はなかった。米国を非難する言葉も見当たらなかった。
 背景として考えられるのは、今月末にベトナム・ハノイで米朝首脳会談が開催されるという点だ。米国を刺激することを極力避けようとする北朝鮮指導部の意図がうかがえる。何もしないという選択肢は、北朝鮮の世論があるから考えられない。宴会や慶祝公演なら、ソフトなイメージが出せる。金委員長が人民武力省を訪れたのも絶妙な演出だった。

 さて、米朝首脳会談はどうなるのか。金委員長は今年元旦の新年の辞でこう語った。
「我々の主動的かつ先制的な努力に対し、米国が信頼性ある措置を取って相応の実践的行動で答えるなら、両国関係はより確実で画期的な措置を取っていく過程を通じて速いスピードで前進するでしょう」
 要するに我々も行動するから、米国も行動せよということだ。

文聖姫(ジャーナリスト、博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年2月25日号
posted by JCJ at 14:20 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする