2019年03月05日

【内政】 天皇の戦争指導・責任を追及 88年JCJ賞受賞番組「遅すぎた聖断」上映 JCJ沖縄2月集会=杉山正隆

 JCJ沖縄2月集会「『遅すぎた聖断』学習会、ジャーナリズム各賞合同報告会・交流会」が9日、那覇市のRBCホールで開かれた。県内や、東京、北九州のメディア関係者30人が参加。沖縄戦がなぜ戦われたか、客観的な史料に基づき天皇の戦争責任などを考える「遅すぎた聖断 〜検証・沖縄戦への道〜」(1988年、RBC=琉球放送、40分)を上映。その後、番組を制作した仲里雅之ディレクター(当時)と大盛伸二カメラマン(同)から制作の狙いなどを聞き、質疑や討論が活発に行われた。

天皇制温存のため
 この番組にJCJ賞を贈呈したことを報じる88年8月25日付機関紙「ジャーナリスト」には、「ビデオを見た各委員はいずれもうなった。テレビでこれほど正面から天皇の戦争責任に迫り得た作品はこれが初めてではないか。日本軍による住民虐殺、20万に及ぶ戦没者をもたらした沖縄戦は、ただ国体護持=天皇制の温存のために戦われたのだ」と。また、「この番組を通じて『天皇の戦争責任』との言葉は一言も出て来ない。だが、積み重ねられた事実は、ものの見事に天皇・天皇制の責任を明らかにしている」と記されている。
 昭和が終わろうとする当時、天皇や君が代、日の丸などの問題をきちんと伝えなければ、との強い危機感が番組制作につながり、県内はもちろん、JCJ賞を受賞するなど県外でも反響が大きかった。

 メディア関係者からは、どんな苦労があったのか、タイトルを決定した経緯などの質問や、どう現役記者にバトンタッチしていけば良いのかアドバイスを求める声が上がった。
 仲里さんは「番組では事実を淡々と伝えていこうと思った。もちろん、どう受け止められるのか不安もあった。古本屋をまわり資料を探した」などと当時を振り返った。「沖縄では戦時中、皇民化教育が強くなされた。小さい頃からすり込まれた。それは皇族の結婚話を見ると、同じようなことが今もあるように感じる。最近の天皇の沖縄訪問の際に、戦時中と同じように『天皇陛下、万歳』の声が湧き上がり、提灯行列があった」とも。
 大盛カメラマンは「実は『遅すぎた聖断』に新しい事実は全く無かった。史実に、研究者の声などを丹念に組み合わせただけ。だから特に何も言ってないのだが、実は伝えたいことはしっかり言っている。ちゃんとしたメッセージを世に出したと今、見てあらためて感じる」と話した。

今の方が状況悪い
 参加者からは「番組を制作した30年前より今は悪くなっている点が少なくない」との危機感や、「沖縄のジャーナリズムを未来につないでいきたい」「沖縄ではきちんと伝えるべきニュースは報道されている。本土でのジャーナリストも工夫しつつ出来ることをすれば良い」「JCJの今後の取り組みに期待したい」などの声が上がった。
 各賞合同報告会では、沖縄タイムスが昨年のJCJ賞を、琉球新報が新聞労連大賞を、またラジオ沖縄や沖縄テレビ放送、FM沖縄などが主要ジャーナリズム賞を受賞するなど、昨年4月から現在までの13分野での受賞が報告された。各受賞者の代表からあいさつがあり、沖縄のジャーナリストの目覚ましい活躍に改めて感動した。

杉山正隆(JCJ運営委員)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年2月25日号
posted by JCJ at 18:24 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする