2019年03月21日

【おすすめ本】植村裁判取材チーム編『慰安婦報道「捏造」の真実 検証・植村裁判』─明かされた右派の杜撰・欺瞞ロジック=安田浩一(ジャーナリスト)

「捏造」したのは誰か─元朝日新聞記者・植村隆さんは、訴え続けている。「捏造記者」のレッテルを張られ、誹謗中傷を受けてきた。「植村裁判」は、植村さんの尊厳をかけた闘いだ。
 裁判の傍聴に通う中で私もまた問われているのだと感じた。不正義を前に沈黙は許されるのか、植村さんの叫びは、メディアに携わるすべての者に向けられる。

 27年前、元慰安婦だった女性が韓国で名乗り出た。植村さんは必要な裏どりを重ね、記事にした結果のスクープ。人権を蹂躙された女性の悲痛な叫びが初めて報じられた。
 だが、これを「捏造」だとしたのが、櫻井よしこ氏や西岡力氏をはじめとする右派系の文化人・メディアだった。様々な悪罵がぶつけられた。それらが原因となって、植村さんは職場を追われ、本人も、さらには家族も殺害予告などの脅迫を受けてきた。
 
 本書は、これら一連の経緯と、櫻井・西岡両氏、出版社を相手取って起こした名誉棄損訴訟を、ジャーナリストたちからなる「取材チーム」が徹底検証したものだ。一方的に植村さんの「捏造」を叫んでいた者たちの杜撰なロジックが暴かれる。
「取材チーム」のひとり、長谷川綾さんは「資料をつまみ食いし、細部の齟齬で全体を否定する。その手法は<ガス室はなかった>と主張するホロコースト否定派を思わせる」と喝破する。そう、「植村裁判」は、日本社会を覆いつつあるヘイトな空気感との闘いでもあるのだ。
 詳細な検証記録によって、ようやく「真実」が浮かび上がってきた。
(花伝社1000円)
『慰安婦報道「捏造」の真実』.jpg
posted by JCJ at 09:30 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする