2月24日、県民投票当日は、朝から冷たい雨が降りしきった。投票率がなかなか上がらず、夕方になっても50%に届かない。最後までやきもきしたが、最終投票率52.48%にほっと胸をなでおろした。
(埋め立て)反対票は、昨年知事選での玉城デニー知事の獲得票39万票余を大きく上回る43万4273票(投票者総数の約72%)。それは予想を超えるものだった。県民投票潰しに失敗したあと、投票率を下げようと躍起になった官邸・自民党の目論見ははずれた。悪天候の中、静かに、しかししっかりと意思を示したウチナーンチュを私は改めて尊敬し、誇りに思った。
しかしながら、想定内とはいえ翌日も、海には埋め立て土砂が投入され、ゲート前では機動隊が市民を排除し、ダンプが列をなして石材・資材を搬入した。県民投票などなかったかのように全く変わらない光景に「心が折れそうだ」とつぶやく人もいた。
3月4日、さんしん(三線)の日。1993年から始まった「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」は、正午の時報とともに全県一斉に、沖縄の祝いの席に欠かせない「かぎやで風」を奏でるイベントだが、辺野古ゲート前でも一昨年から行っている。
正午。三線や太鼓の奏者たちが並んで演奏したあと、数十人が「かぎやで風」を群舞。奏者も踊り手も、普段から座り込みに参加している人たちだ。
今日は搬入はやめてほしいと要請したにもかかわらず、正午過ぎ、石材を積んだダンプや生コン車の行列が近づいてきた。機動隊が、作業ゲートに座り込む市民を排除するいつもの光景が再現され、悲鳴や怒号が上がる。国道を挟んだ向かい側では、それに動じることなく演奏が続けられ、プロの腕前を持つ熟練の踊り手が見事な舞を見せている。その堂々とした振る舞いに沖縄文化の底力を見る思いがした。
国道の右と左に繰り広げられる、あまりにも対照的な光景は、沖縄と日本(政府)との関係を象徴しているようだった。
3月25日、沖縄防衛局は新たな工区への土砂投入着手を宣言しているが、1〜4日に行われた専門家調査団の調査で、新基地予定地に活断層の存在が明らかになり、工事の先行きはますます見えなくなっているのが実態だ。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号