2019年04月09日

【映画の鏡】 破天荒な生きざま貫く「全身画家」─『ぼくの好きな先生』─子どもたち自由と勇気を=今井 潤

 画家、瀬島匠は56歳、山形の東北芸術工科大学で学生たちに教え、全国を飛び回って創作活動を行っている。30年間“runner”というタイトルで絵を描き続ける。
 映画監督、前田哲は全身アーティスト瀬島匠に出会い、自らカメラを回し、しゃべりながら、漫才を演じながら、観る者の心を激しく揺さぶる人間ドキュメンタリーを作った。

 広島県因島に生まれた瀬島は、造船所に勤めながら地方画家として活動していた父と同じく、絵や彫刻を作り続ける母の影響もあり、幼いころから画家の道をこころざした。
 現在は大学で絵を教える立場になったが、因島、飯山、川崎などで創作活動を続けている。

 前田監督としゃべりながら描くのは、大きなトタン板のキャンパスに、海辺と広がる空をナイフで白と青の絵の具を塗りたくっていく。紹介される受賞作は具象画で廃船、大きな山など迫力に満ちたもので、いずれも“runner”とタイトルがついている。なぜ”runner”なのか答えはない。瀬島匠という画家の絵を描く姿勢そのものが、走る男なのかも知れない。

 前田監督は<どんどん不寛容になる社会の中で、窮屈に生きさせられている若者たち、子供たちへ「もっと自由に生きていいんだよ」、「失敗を恐れず楽しもうよ」と瀬島匠の破天荒な生き様と創作姿勢と学生たちの交流を通して、“エール”を送りたいと思ったのです>と述べている。
(公開は3月23日(土)新宿ケーズシネマ、3月30日(土)大阪シネヌーボなど全国順次)

今井 潤

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
posted by JCJ at 12:44 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする