2019年04月21日

【おすすめ本】沖縄タイムス社編『沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」』─翁長さんの言葉の重さを噛みしめる=鈴木耕(編集者)

 ひとこと一言が、直に胸に沁み込んでくる本である。昨年8月、惜しまれながら世を去った前沖縄県知事・翁長雄志さんの、折に触れて発した言葉を集め、沖縄タイムスが編んだもの。
 翁長さんの言葉と、それが発せられた背景を小文で解説する、とてもシンプルな編集なのだが「政治家とは言葉の闘士」であることが、これほど明快に示されている本も珍しい。例えば、国を相手取っての訴訟の際に翁長さんはこう語った。

<その後ろ姿を見せることで、子や孫がその思いを吸収し、彼らなりに沖縄の将来を担っていくことにつながる。私たち責任世代の役割はそこにあるのではないか>
 親が子に向けるまなざし。まさに沖縄の世代のつながりを見る思いだ。だから、そのつながりを守ろうとするとき、翁長さんは闘う顔になる。
<大臣の是正支持は、かけがえのない自然と生態系への破壊指示であり、地方自治の破壊そのものではないでしょうか>
 高江のヘリパッド建設現場での、市民へ向けた機動隊員の“土人発言”には怒りをあらわにした。
<侮辱的な言葉が飛んできた。そういう言葉は人と人の絆を壊す>
 言葉の怖さを真から知る政治家だったのだ。だから、怒りは言葉を失った司法にも向けられる。
<あぜんとした。裁判所は政府の追認機関であることが明らかになった>

 そして、この叫び!
<ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー(沖縄の人をないがしろにしてはいけない)>
 巻末に付記された記者たちの文章が切ない。
(沖縄タイムス社1000円)
『翁長雄志の「言葉」』.png
posted by JCJ at 10:27 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする